
「遺言書って、どうやって書けばいいの?」
「公正証書遺言と自筆証書遺言、どっちがいいの?」
「費用はどのくらいかかる?」
「遺言書がないと、どうなるの?」
こんな悩みはありませんか?
遺言書は、あなたの最後の意思表示であり、残された家族への大切なメッセージです。
しかし、遺言書の書き方には、法律で定められたルールがあり、不備があると無効になってしまうこともあります。
また、遺言書の内容によっては、相続トラブルを招いてしまう可能性もあります。
ご安心ください!
今回の記事では、遺言書の基本的な知識から、種類、書き方、注意点、そして、遺言書を作成するメリットまで、詳しく解説します。
この記事を読めば、遺言書に関する疑問が解消され、あなたと家族にとって最適な遺言書を作成するための第一歩を踏み出せます。
岩手県、宮城県(仙台市含む)にお住まいの皆様、ぜひ最後までお読みください。
今回の提案は、あなたのお困りごとを解決する内容として紹介します。
1遺言とは?:あなたの最後の意思表示
遺言とは、人が自分の死後、財産を誰にどのように分けるか、などの意思表示を、法律で定められた方式に従って行うものです。
遺言は、遺言者の最終的な意思を尊重し、相続に関する紛争を予防するために、非常に重要な制度です。
1-1. 遺言でできること
遺言でできることは、主に以下のとおりです。
(1)財産の処分:
誰に、どの財産を、どのくらい相続させるか(または、相続させないか)を指定できます。
・具体例:
「長男に自宅の土地と建物を相続させる」
「妻に預貯金の全てを相続させる」
「愛人に○○銀行の預金1000万円を遺贈する」
相続分の指定: 法定相続分とは異なる割合で、相続分を指定できます。
・具体例:
「妻に2分の1、長男と次男にそれぞれ4分の1ずつ相続させる」
遺産分割方法の指定: 遺産をどのように分けるか(現物分割、代償分割、換価分割など)を指定できます。
・具体例:
「自宅は長男に相続させ、その代わりに長男は次男に代償金として500万円を支払う」
遺言執行者の指定: 遺言の内容を実現するための手続きを行う人(遺言執行者)を指定できます。
(2)遺言執行者とは:
遺言の内容を実現するために、相続財産の管理や名義変更などの手続きを行う人です。
弁護士や行政書士などの専門家を指定することもできます。
(3)子の認知:
法律上の婚姻関係にない男女の間に生まれた子を、自分の子として認知できます。
(4)未成年後見人の指定:
未成年の子がいる場合、親権者が遺言で未成年後見人を指定できます。
(5)相続人の廃除・廃除の取り消し:
一定の事由がある場合、特定の相続人を相続人から除外したり、除外を取り消したりできます。
(6)祭祀承継者の指定:
お墓や仏壇など、先祖を祀るための財産(祭祀財産)を引き継ぐ人を指定できます。
1-2. 遺言がない場合の相続
遺言がない場合は、民法で定められた法定相続人が、法定相続分に従って遺産を相続します。
しかし、法定相続分による相続は、必ずしも各相続人の実情に合っているとは限りません。
例えば、
・長年、親の介護をしてきた長男が、他の兄弟姉妹と同じ相続分しか受け取れない。
・内縁の妻(夫)には、相続権がないため、何も財産を受け取れない。
・事業を継いでくれる長男に、事業用資産を集中させたいが、法定相続分では難しい。
このようなケースでは、遺言書を作成することで、自分の意思を反映した遺産分割が可能になります。
2遺言の種類:3つの方式
遺言には、主に以下の3つの方式があります。
2-1. 自筆証書遺言
自筆証書遺言は、遺言者が、遺言書の全文、日付、氏名を自筆で書き、押印する遺言書です。
手軽に作成できる反面、形式不備で無効になるリスクや、紛失・改ざんのリスクがあります。
(1)メリット:
・費用がかからない
・いつでも、どこでも作成できる
・内容を秘密にできる
(2)デメリット:
・形式不備で無効になるリスクがある
・紛失・改ざんのリスクがある
・発見されない可能性がある
・家庭裁判所での検認手続きが必要(後述)
2-1-1. 自筆証書遺言の書き方
①全文を自筆で書く:
パソコンやワープロで作成したものは無効です。ただし、財産目録は、パソコンで作成したり、通帳のコピーなどを添付したりすることも可能です(民法968条2項)。
②日付を書く:
年月日を正確に自筆で記載します。「吉日」などの曖昧な表現は無効です。
③氏名を書く:
戸籍上の氏名を自筆で記載します。
④押印する:
実印でなくても構いませんが、認印でも有効です。
ただし、拇印は避けるべきです。
(加除訂正→もし、間違えた場合は、「明確なルール」に従って修正をすること。)
2-1-2. 自筆証書遺言の注意点
①形式不備に注意:
少しでも形式に不備があると、無効になる可能性があります。
②保管場所に注意:
紛失や改ざんを防ぐため、安全な場所に保管しましょう。法務局の「自筆証書遺言書保管制度」を利用することもできます。
③検認手続き:
遺言書の保管者または発見者は、相続開始後、遅滞なく家庭裁判所に遺言書を提出し、検認の手続きを行う必要があります(民法1004条)。
検認とは、遺言書の存在と内容を相続人に知らせ、偽造や変造を防ぐための手続きです。
2-2. 公正証書遺言
公正証書遺言は、公証人が作成する遺言書です。
証人2人以上の立会いのもと、遺言者が遺言の内容を公証人に口頭で伝え、公証人がそれを文章にまとめます。
作成された遺言書の原本は、公証役場に保管されます。
(1)メリット:
・形式不備で無効になるリスクがない
・原本が公証役場に保管されるため、紛失・改ざんの心配がない
・家庭裁判所での検認手続きが不要
遺言執行者を指定しておけば、相続手続きがスムーズに進む
(2)デメリット:
・費用がかかる(公証人手数料)
・証人2人以上の立会いが必要
・公証役場に出向く必要がある(出張も可能)
2-2-1. 公正証書遺言の作成手順
①証人2人以上を確保する: 未成年者、推定相続人、受遺者などは証人になれません。
②必要書類を準備する:
・遺言者の戸籍全部事項証明書
・遺言者の印鑑登録証明書
・財産に関する資料(不動産の登記事項証明書、預貯金通帳のコピーなど)
・相続人・受遺者の戸籍全部事項証明書(または住民票)
・証人の身分証明書
③公証役場に予約を入れる:
事前に電話などで予約を入れましょう。
④公証役場で遺言書を作成する:
遺言者が遺言の内容を公証人に口頭で伝え、公証人がそれを文章にまとめます。
⑤遺言書に署名・押印する:
遺言者、証人、公証人が、遺言書に署名・押印します。
⑥公証人手数料を支払う:
手数料は、遺言で相続させる財産の価額によって異なります。
2-3. 秘密証書遺言
秘密証書遺言は、遺言者が遺言書を作成し、封印した後、公証人と証人2人以上の前で、自分の遺言書である旨などを申述し、公証人がその旨を封紙に記載する遺言書です。
遺言の内容を秘密にできるというメリットがありますが、手続きが煩雑で、利用されることはあまり多くありません。
(1)メリット:
遺言の内容を秘密にできる
(2)デメリット:
・手続きが煩雑
・形式不備で無効になるリスクがある
・家庭裁判所での検認手続きが必要
・費用がかかる(公証人手数料)
3遺言書の保管方法:紛失・改ざんを防ぐ
遺言書は、紛失や改ざんを防ぐために、安全な場所に保管することが重要です。
3-1. 自筆証書遺言の保管
・自宅の金庫や仏壇: 手軽な保管場所ですが、紛失や盗難のリスクがあります。
・銀行の貸金庫: 安全性は高いですが、費用がかかります。
・法務局の自筆証書遺言書保管制度: 2020年7月から始まった制度で、法務局で自筆証書遺言を保管してもらえます。費用は3,900円です。
3-2. 公正証書遺言の保管
公正証書遺言の原本は、公証役場に保管されます。
遺言者には、正本と謄本が交付されます。
4遺言書で「争族」を防ぐ:効果的な対策
遺言書は、相続人間の争いを防ぐための有効な手段です。
しかし、遺言書の内容によっては、かえって争いを招いてしまう可能性もあります。
ここでは、争族を防ぐための遺言書の書き方のポイントを解説します。
4-1. 全員が納得できる内容にする
遺言書の内容は、できる限り相続人全員が納得できるものにすることが理想です。
そのためには、事前に家族とよく話し合い、それぞれの意見や希望を聞いておくことが大切です。
特に、特定の相続人に多くの財産を相続させる場合や、相続人以外の人に財産を遺贈する場合は、その理由を明確に説明し、理解を得るように努めましょう。
4-2. 付言事項を活用する
付言事項とは、遺言書の本文とは別に、遺言者の気持ちや考えを書き添えるものです。
付言事項には法的効力はありませんが、遺言者の想いを伝えることで、相続人の感情的な対立を和らげる効果が期待できます。
〇付言事項の例:
・「長男には、長年私の面倒を見てくれた感謝の気持ちを込めて、自宅を相続させます」
・「妻には、これまで支えてくれた感謝の気持ちを込めて、預貯金の全てを相続させます」
・「家族みんなが仲良く暮らしてくれることを願っています」
4-3. 遺留分に配慮する
遺留分とは、兄弟姉妹以外の法定相続人に、最低限保障されている遺産の取り分のことです。
遺言書の内容が、特定の相続人の遺留分を侵害している場合、その相続人から遺留分侵害額請求をされる可能性があります。
遺留分を侵害しないように遺産を分配するか、遺留分を侵害する場合には、その理由を付言事項に記載しておくなどの配慮が必要です。
〇遺留分の割合:
・直系尊属のみが相続人の場合:法定相続分の1/3
・それ以外の場合:法定相続分の1/2
4-4. 予備的遺言を検討する
予備的遺言とは、特定の相続人が遺言者より先に死亡した場合や、相続放棄をした場合に備えて、別の相続人を指定しておく遺言のことです。
予備的遺言を作成しておくことで、遺産分割協議を再度行う手間を省くことができます。
〇予備的遺言の例:
・「長男が私より先に死亡した場合、または、長男が相続を放棄した場合は、長男の妻に自宅を相続させる」
4-5. 専門家(行政書士など)に相談する
遺言書の作成は、専門的な知識が必要となる場面が多くあります。
また、遺言書の内容によっては、相続人間の争いを招いてしまう可能性もあります。
そのため、遺言書の作成は、弁護士や行政書士などの専門家に相談することをおすすめします。
専門家は、あなたの状況に合わせて、最適な遺言書を作成するためのアドバイスをしてくれます。
5遺言執行者の指定:スムーズな相続手続きのために
遺言執行者とは、遺言書の内容を実現するために、相続財産の管理や名義変更などの手続きを行う人です。
遺言執行者は、遺言書で指定することができます。
遺言執行者を指定しておくと、相続手続きがスムーズに進むというメリットがあります。
5-1. 遺言執行者の役割
遺言執行者は、以下のような役割を担います。
①相続財産の管理
②相続財産目録の作成
③遺言の内容の執行(不動産の名義変更、預貯金の解約・払い戻し、遺贈の履行など)
相続人への通知
④その他、遺言の内容を実現するために必要な一切の行為
5-2. 遺言執行者の選任方法
遺言執行者は、遺言書で指定することができます。
遺言執行者は、未成年者や破産者でなければ、誰でもなることができます。
相続人や受遺者を遺言執行者に指定することも可能ですが、利害関係が対立する可能性があるため、弁護士や行政書士などの専門家を遺言執行者に指定することをおすすめします。
5-3. 遺言執行者を指定するメリット
・相続手続きがスムーズに進む
・相続人間のトラブルを防止できる
・遺言者の意思を確実に実現できる
5-4.遺言執行者を指定するときの注意点
遺言執行者は、遺言内容を実現するという重要な任務を担います。
遺言執行者には、以下の点を考慮して選任しましょう。
・信頼できる
・遺言内容を確実に実行してくれる
・相続手続きに関する知識や経験
6まとめ
遺言書は、あなたの最後の意思表示であり、残された家族への大切なメッセージです。
遺言書を作成することで、相続に関する紛争を予防し、あなたの意思を確実に実現することができます。
しかし、遺言書の書き方には、法律で定められたルールがあり、不備があると無効になってしまうこともあります。
また、遺言書の内容によっては、相続トラブルを招いてしまう可能性もあります。
遺言について、何から手を付けていいか分からないのが現状です。
よって、専門家である行政書士に、トータルで任せることで安心が得られます。
遺言は、各種の法的な手続き、それと銀行との連絡調整など、複雑な手続きが必要となる場合があります。
そこで、専門家である行政書士に依頼することで、スムーズに、遺言手続を進めることができます。
遺言は、決して、身内を「ないがしろ」にするものではありません。
むしろ、次の世代に向けて、本人が亡くなった後の意思・思いを引き継ぎ、未来に向けて、前向きな人生を充実させるために必要なバトンタッチです。
当事務所では、お客様の気持ちに寄り添い、最善の解決策を提案します。
また、当事務所の最大の特徴として、他士業である弁護士や司法書士、土地家屋調査士、公認会計士、税理士、社会保険労務士、中小企業診断士、宅地建物取引士、ファイナンシャルプランナー(FP)と、「チーム(士業の会)」を組んでおり、多種多様・多面的な問題解決に、いち早く対応できる体制を組んでおります。
さらに、元岩手県職員としての経験(企業立地、県立大学新設)から、国や自治体といった行政機関に対し、素早く対応・調整ができるという他にはない「強み」を持っているところです。
この記事を読んで、少しでも遺言について考えるきっかけになれば幸いです。
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