定款の写しに対する押印廃止

行政書士に業務を依頼し、業務が完了すれば、その業務についての委託料を支払います。
そうすると、後日行政書士から、領収書(行政書士法では領収証といいます。)が届きます。
これは、行政書士法第10条によって義務となっています。
ちなみに、見積書、請求書、委任契約書は、この行政書士法においては、義務となっていません。

近年、電子化により、この義務となっている領収証をpdfにして、メールに添付して送っている例が見受けられます。
果たして、それはいいことなのかどうか、ここで説明したいと思います。

領収証の電子化(pdf)についての根拠となる法令は、

「行政書士法に係る民間事業者等が行う書面の保存等における情報通信の技術の利用に関する法律」施行規則(平成17年 総務省令 第46号)
 ⇒法律の通称は「e-文書法」といいます。
です。

1 「e-文書法」の位置づけ

⑴ 行政書士法 第10条: 「領収証を紙で作って、職印を押して、紙で保存しろ」と言っている(原則)
⑵ 今回の施行規則: 「でも、この規則(第3条や第4条など)を守るなら、電子データ(PDF)でやってもいいよ」と許してくれている(例外・特例)。

つまり、この規則に従わなければ、原則に戻って「紙」でやらなければならない、ということです。

2 条文ごとの解説と実務対応

⑴ 第3条(保存)⇒「副本(控え)のGoogleドライブ保存」
・(法第三条第一項の主務省令で定める保存) …電磁的記録の保存は、…電磁的記録媒体をもって行う保存とする。
・意味: 領収証の控え(副本)は、紙でなくハードディスクやクラウド(電磁的記録媒体)に保存してOKです。
・条件: ただし、必要な時に直ちに画面に表示できたり、書面に出力できたりするようにしておくこと(見読性の確保)。

⑵ 第4条(作成)⇒「正本へのセコム電子署名」
★ 最も重要
・(法第四条第一項の主務省令で定める作成) …行政書士法施行規則第十条…の規定による作成は、…行政書士の電子署名(…電子署名及び認証業務に関する法律…第二条第一項に規定する電子署名をいう。)を行い、当該電子署名に係る当該行政書士の電子証明書…を当該作成に係る電磁的記録と併せて保存する方法…により行わなければならない。

・意味: 領収証を電子で作るなら、必ず「電子署名法に基づく電子署名」を行いなさい。
「画像貼り付け」ではダメで、「セコムパスポートでの署名」が必要だという根拠は、まさにここにあります。セコムを使えば合格です。

⑶第9条(交付・提供)⇒「メール送信と相手の承諾」
・(法第六条第一項の主務省令で定める交付等) …相手方の承諾を得て、…電磁的記録に記録された事項を…電気通信回線を通じて送信する方法…により行わなければならない。

・意味: 領収証を電子(PDFメール添付やダウンロード)で渡す場合は、あらかじめ「相手の承諾」を得なければならない。
・実務上の注意: 勝手にPDFで送りつけるのはNGです。
 →「領収証はPDF(電子データ)でメール送信させていただきますが、よろしいでしょうか?」と口頭やメールで確認し、OKをもらってから送る必要があります。

3 結論

⑴ 保存(第3条): Googleドライブで5年保存する。
⑵ 作成(第4条): セコムパスポートで電子署名する(必須)。
⑶ 交付(第9条): 相手に「PDFでいいですか?」と聞いてからメールで送る。

ということで、行政書士から領収証がメールに添付されてきたときは、電子署名がされているかどうか、必ず確認してください。

4 問い合わせ先

行政書士藤井等事務所

1 お問い合わせフォーム
https://office-fujiihitoshi.com/script/mailform/toiawase/
2 事務所ホームページ<トップページ>
https://office-fujiihitoshi.com/