
「建設業許可の他に、必要な許可や登録ってあるの?」
「電気工事業を始めるには、どんな手続きが必要?」
「『建設業許可通知書』と『許可証明書』って何が違うの?」
こんな疑問はありませんか?
ご安心ください。
今回の記事では、建設業に関連する様々な許認可(電気工事業登録、解体工事業登録、産業廃棄物収集運搬業許可、宅地建物取引業免許、建築士事務所登録)や、建設業許可通知書と許可証明書の違い、
そして令和2年からの変更点について、詳しく解説します。
この記事を読めば、建設業を営む上で必要な許認可の全体像が理解でき、適切な手続きを進めるための第一歩を踏み出せます。
岩手県、宮城県(仙台市含む)で建設業を営む皆様、ぜひ最後までお読みください。今回の提案は、あなたのお困りごとを解決する内容として紹介します。
1建設業許可だけでは不十分?関連する5つの許認可
岩手県や宮城県(仙台市を含む)で建設業を営む皆様、建設業許可を取得したからといって、安心してはいけません。
実は、建設業に関連する様々な許認可があり、事業内容によっては、これらの許認可も取得する必要があります。
ここでは、代表的な5つの関連許認可について解説します。
1-1. 電気工事業者の登録:電気工事を行うなら必須!
電気工事を自ら施工し、電気工事業を営む場合は、「電気工事業の業務の適正化に関する法律」に基づき、経済産業大臣または都道府県知事の登録を受ける必要があります。
〇登録の種類
①登録電気工事業者:
自家用電気工作物(最大電力500kW未満の需要設備)および一般用電気工作物に係る電気工事を施工する場合
②みなし登録電気工事業者:
建設業許可を受けている建設業者が、電気工事業を営む場合(届出制)
③通知電気工事業者:
自家用電気工作物に係る電気工事のみを施工する場合(届出制)
④みなし通知電気工事業者:
建設業許可を受けている建設業者が、自家用電気工作物に係る電気工事のみを施工する場合(届出制)
*注意点:
「自ら施工」する場合のみ登録が必要です。元請として電気工事を受注し、下請業者に施工させる場合は、登録は不要です。
登録を受けずに電気工事業を営むと、罰則が科せられる場合があります。
1-2. 解体工事業者の登録:500万円未満の解体工事なら必要
建築物などの解体工事を請け負う場合(建設業許可の「解体工事業」を取得している場合を除く)、建設リサイクル法に基づき、都道府県知事の登録を受ける必要があります。
〇登録の対象:
請負金額が500万円未満の解体工事(土木、建築、とび・土工のいずれかの建設業許可を受けている場合は不要)
*注意点:
解体工事を行う現場ごとに、標識の掲示が必要です。
解体工事の元請業者は、工事着手の7日前までに、分別解体等の計画などについて、都道府県知事に届け出る必要があります。
1-3. 産業廃棄物収集運搬業許可:建設廃棄物の運搬に
建設工事に伴って発生する産業廃棄物(建設廃棄物)を収集・運搬する場合は、廃棄物処理法に基づき、都道府県知事(または政令市長)の許可を受ける必要があります。
〇許可の種類:
①産業廃棄物収集運搬業許可:
産業廃棄物を収集・運搬するための許可
②特別管理産業廃棄物収集運搬業許可:
爆発性、毒性、感染性など、人の健康や生活環境に被害を生じるおそれがある産業廃棄物(特別管理産業廃棄物)を収集・運搬するための許可
*注意点:
排出事業者(元請業者)自らが産業廃棄物を運搬する場合は、許可は不要です。
産業廃棄物を運搬する際は、マニフェスト(産業廃棄物管理票)の運用が必要です。
例外的に、小規模な維持修繕工事などにおいて、一定条件のもと、下請業者が許可なく運搬することが可能です。
-その条件として、
①500万円以下の維持修繕工事(新築、増築、解体を除く)
②500万円以下相当の瑕疵工事
③1回の運搬が、1㎥以下
④特別管理産業廃棄物を除く
⑤運搬途中に、保管を行わない
⑥運搬先は、同一県内又は隣接県内で、元請業者の指定する場所
⑦必要事項を記載した書面、および請負契約書の写しを、常に持ち歩いていること
1-4. 宅地建物取引業免許:不動産取引を行うなら
建設業者が、自ら建築した建物を販売したり、土地を仕入れて宅地造成後に分譲販売したりするなど、不動産取引を業として行う場合は、宅地建物取引業法に基づき、国土交通大臣または都道府県知事の免許を受ける必要があります。
〇免許の種類:
・大臣免許: 2以上の都道府県に事務所を設置する場合
・知事免許: 1つの都道府県にのみ事務所を設置する場合
*注意点:
建設業者が自ら建築した建物を、工事の請負契約と一体として販売する場合は、宅地建物取引業の免許は不要です。
宅地建物取引業の免許を受けるためには、営業所に専任の宅地建物取引士を設置する必要があります。
1-5. 建築士事務所登録:設計や工事監理を行うなら
建設業者が、他人の求めに応じ報酬を得て、建築物の設計、工事監理、建築工事契約に関する事務などを行う場合は、建築士法に基づき、建築士事務所の登録を受ける必要があります。
〇登録の種類:
・一級建築士事務所
・二級建築士事務所
・木造建築士事務所
*注意点:
建設業者が自ら施工する建物の設計や工事監理を行う場合は、建築士事務所の登録は不要です。
建築士事務所には、管理建築士を置く必要があります。
2建設業許可通知書と許可証明書:違いと使い分け
建設業許可を取得すると、「建設業許可通知書」が交付されます。
また、必要に応じて「建設業許可証明書」を取得することもできます。
ここでは、これらの書類の違いと使い分けについて解説します。
2-1. 建設業許可通知書:許可の証、大切に保管!
建設業許可通知書は、建設業許可の申請を行った結果、許可が下りた場合に、許可行政庁から申請者に送付される書面です。
許可の証となる大切な書類ですので、紛失しないように保管しましょう。
〇記載内容:
・許可番号
・許可の有効期限
・許可を受けた建設業の種類
・商号または名称
・代表者氏名
・営業所の名称および所在地
・一般建設業または特定建設業の別 など
*注意点:
許可通知書は再発行されません。
許可通知書は、許可の有効期限内(5年間)は、許可取得時の情報が記載されたままです。
商号や代表者、所在地などに変更があった場合は、別途変更届を提出する必要があります。
2-2. 建設業許可証明書:最新の許可情報を証明
建設業許可証明書は、許可行政庁が、その建設業者の許可が有効であることを証明する書面です。
許可通知書とは異なり、申請によって発行されます。
〇記載内容:
・許可番号
・許可年月日
・許可を受けた建設業の種類
・商号または名称
・代表者氏名
・営業所の名称および所在地
・一般建設業または特定建設業の別 など
・証明年月日
〇許可通知書との違い:
許可証明書には、許可の有効期限の記載がなく、代わりに許可年月日が記載されています。
許可証明書は、申請時点での最新の許可情報が記載されます。商号や代表者などに変更があった場合でも、変更後の情報が反映されます。
〇使い分け:
・許可通知書: 許可取得の事実を証明する
・許可証明書: 現在の許可状況を証明する(公共工事の入札参加資格審査など)
2-3. 国土交通大臣許可の許可証明書:取扱いの変更(令和2年4月から)
令和2年4月から、国土交通大臣許可に係る許可証明書の発行について、取り扱いが変更されました。
〇変更点:
許可証明書の発行は、建設業許可の更新申請を行った場合に、従前の許可の有効期限までに更新申請に対する許可・不許可の通知が行われないときに、従前の許可がなおその効力を有することを証明する場合に限られるようになりました。
許可証明書の請求は、更新申請につき1回、発行部数は1枚限りとなりました。
請求できる期間は、更新申請の受付日から当該申請に対する許可・不許可の通知がされるまでの間です。
*変更の理由:
許可証明書の本来の目的は、上記の通り、更新申請中の許可の有効性を証明することであるため。
国土交通省のホームページ「建設業者・宅建業者等企業情報検索システム」で、建設業者の許可情報を確認できるようになったため。
3建設業許可関連の届出:変更があったら速やかに!
建設業許可を取得した後も、様々な届出が必要になります。
ここでは、主な届出について解説します。
3-1. 変更届:許可内容に変更があった場合
商号、所在地、代表者、役員、営業所、専任技術者、経営業務の管理責任者などに変更があった場合は、変更届を提出する必要があります。
・提出期限:
役員の変更、経営業務の管理責任者の変更、令3条使用人の変更:変更後2週間以内
・商号・名称の変更、営業所の変更、資本金額の変更、専任技術者の変更など:
変更後30日以内
・提出先:
-大臣許可:主たる営業所の所在地を管轄する地方整備局など
-知事許可:主たる営業所の所在地を管轄する都道府県
3-2. 決算変更届(事業年度終了報告):毎年提出
建設業者は、毎事業年度終了後4ヶ月以内に、決算変更届(事業年度終了報告)を提出する必要があります。
これは、建設業許可の更新申請の際にも必要となる重要な書類です。
・提出書類:
-事業年度終了報告書
-工事経歴書
-直前3年の各事業年度における工事施工金額
-貸借対照表および損益計算書(法人の場合)
-その他、必要に応じて添付書類
3-3. 廃業届:事業を廃止した場合
建設業を廃業した場合は、廃業届を提出する必要があります。
・提出期限: 廃業後30日以内
3-4. 更新申請:5年ごとに必要
建設業許可の有効期間は5年間です。
引き続き建設業を営む場合は、有効期間満了の30日前までに、更新申請を行う必要があります。
*注意点:
更新申請を怠ると、許可が失効します。
更新申請の際には、決算変更届(事業年度終了報告)が提出されている必要があります。
3-5. その他の届出
上記以外にも、以下のような場合に届出が必要になります。
・業種追加:
許可を受けている建設業の種類以外に、新たな種類の建設業の許可を受けようとする場合
・般・特新規:
一般建設業許可から特定建設業許可へ、またはその逆の変更を行う場合
4まとめ
建設業を営む上で必要な、建設業許可とそれに関連する様々な許認可、そして建設業許可通知書と許可証明書の違い、各種届出について解説しました。
建設業に関連する法規制は複雑で、変更も頻繁に行われます。
「自分の会社に必要な許認可は何?」「変更届を出し忘れていないか?」など、疑問や不安があれば、お気軽に専門家である行政書士にご相談ください。
行政書士藤井等事務所は、建設業許可の専門家として、お客様の状況に合わせた最適なサポートを提供します。
法律の規定や申請手続きは複雑でなかなか分かりにくいものです。
ご自身で時間をかけて検討されるより、専門家に聞いた方が早くて確実です。
「許可が取れそうかどうかだけでも知りたい」という相談だけでも構いません。
建設業許可取得を検討されている業者様は、お気軽に当事務所にご相談ください。
5お問い合わせ
行政書士藤井等事務所
(1) お問い合わせフォーム
(2) 事務所ホームページ<許認可申請>