
「最近、国交省の『建設Gメン』による調査が強化されていると聞くが、一体何を調べているのだろう?」
「自社の元請・下請間の取引は、法的に見て問題ないだろうか?」
「モニタリング調査の対象になったら、どう対応すればいい?」
こんな不安を感じていませんか?
ご安心ください。
その不安は、国土交通省が行う「モニタリング調査」の目的と、その具体的な調査内容を正しく理解することで、確かな「備え」へと変わります。
この記事では、建設業界の取引適正化の鍵を握るモニタリング調査について、その全体像と、特に「建設Gメン」が厳しくチェックしているポイントを分かりやすく解説します。
建設業界の健全な発展のためには、元請負人と下請負人との間の公正で透明性の高い取引関係が不可欠です。
この理想を実現するため、国土交通省は、かねてより建設業法に基づき、事業者の法令遵守状況を監視・指導しています。
その最前線で活動するのが、通称「建設Gメン」です。
そして、彼らが業界の実態を把握し、問題点を是正するための強力な武器となるのが「モニタリング調査」です。
この調査は、企業のコンプライアンス体制が、社会の求める水準にあるかを測る「健康診断」のようなもの。今回は、この重要なモニタリング調査について、その実態を詳しく見ていきましょう。
1業界の「健康診断」(モニタリング調査)
まず、モニタリング調査がどのようなもので、何を目的としているのかを理解することが第一歩です。
1-1. 調査の目的
モニタリング調査とは、適正な請負代金や工期での契約締結、そして公正な代金支払いが確保されているかという観点から、受発注者間・元請下請間のリアルな取引状況について、国土交通省(主に各地方整備局の建設Gメン)がヒアリング等を通じて行う調査です。
その目的は、問題のある取引慣行を早期に発見し、事業者への注意喚起や助言を行うことで、トラブルを未然に防ぎ、建設業界全体の取引適正化を推進することにあります。
1-2. 調査から指導・監督処分へ
この調査は、それ自体が直ちに「監督処分」に繋がるものではありません。
しかし、調査の過程で悪質な法令違反が疑われる場合には、より強制力のある「立入検査」のきっかけとなったり、行政指導が行われたりするなど、厳しい措置へと発展する可能性があります。
2調査はどのように行われるのか?
モニタリング調査は、無作為に行われるわけではなく、一定の基準に基づいて、対象となる事業者や工事が選定されます。
2-1. 調査対象
⑴ 対象業者:
主に、完成工事高が上位の大手・中堅の建設業者が中心となります。
⑵ 対象工事:
工期が1~3年程度、工事費が数億~数十億円規模の、公共施設、マンション、病院、災害復旧工事、道路改良工事などが主な対象です。
特に、労務費や材料費の比率が高い工事が選ばれやすい傾向にあります。
2-2. 調査方法と主な調査項目
調査は、対象となった企業の支店長や工事事務所長、現場代理人などに対するヒアリング形式で実施されます。
特に、近年の法改正や社会情勢を反映し、以下の項目が重点的にチェックされます。
① 物価変動に伴う契約変更(スライド条項)の協議状況:
予期せぬ資材価格の高騰などがあった際に、下請負人からの増額要求に対し、元請負人が誠実に協議に応じているか。
② 標準見積書の活用状況:
下請負人が、労務費や法定福利費、経費などを内訳明示した、国土交通省推奨の「標準見積書」を適切に活用できるよう、元請負人が働きかけを行っているか。
③ 法定福利費の確保:
下請代金の見積もりや契約において、下請負人が負担すべき法定福利費(社会保険料の事業主負担分)が、不当に削減されていないか。
3調査結果から見える、元請負人に求められる「8つの改善点」
国土交通省は、モニタリング調査の結果を定期的に公表しており、そこから、行政が「不適切なおそれのある事案」として、特に問題視しているポイントが見えてきます。
これは、すべての元請負人にとっての「コンプライアンス・チェックリスト」と言えるでしょう。
3-1. ①標準見積書の活用
下請負人が標準見積書を活用できるよう、十分な見積期間を確保し、内訳を尊重すること。
3-2. ②法定福利費の内訳明示
下請契約において、法定福利費を明示した見積書を尊重し、それを一方的に削減しないこと。
3-3. ③適切な社会保険への加入
下請負人に対し、適切な社会保険への加入を指導し、未加入の事業者とは契約しないこと。
3-4. ④一方的な値引きの禁止
合理的・客観的な根拠なく、下請代金から一方的に値引きを行わないこと。
3-5. ⑤適正な労務費の確保
技能労働者の賃金水準を不当に引き下げるような、著しく低い労務費での契約を強いないこと。(今後の法改正で、罰則の対象となります)
3-6. ⑥労務費相当分の現金払い
下請代金のうち、労務費に相当する部分については、長期手形などではなく、現金(または現金同等物)で支払うよう配慮すること。
3-7. ⑦適正な施工体制の確立
施工体制台帳を正確に作成し、一括下請負(丸投げ)の禁止や、技術者の適正配置といったルールを遵守すること。
3-8. ⑧適正な請負代金の設定
下請負人の見積もりを尊重し、市場の実勢や物価変動を適切に反映した、公正な請負代金で契約すること。
4整理
建設Gメンによるモニタリング調査は、建設業界の取引慣行が、常に外部から厳しい視線で注がれていることを、私たちに教えてくれます。
この調査で指摘されている項目は、まさに、日々の元請・下請間の取引において、最もトラブルが生じやすいポイントです。
これらの項目について、自社の体制が適切であるかを日頃からセルフチェックし、改善していくこと。
その地道な取り組みこそが、行政からの指導や、より厳しい立入検査、そして監督処分といった、深刻な経営リスクから自社を守るための、最も確実な方法なのです。
5まとめ
国土交通省の「モニタリング調査」は、建設業界の取引実態を把握し、法令遵守を促すための重要な活動です。
この調査で重点的にチェックされる項目を知ることは、自社のコンプライアンス体制を見直す絶好の機会となります。
「自社の契約慣行は、法的に問題ないだろうか」「最新の法改正に対応できているか不安だ」など、企業のコンプライアンスに関するお悩みは、専門家である行政書士にご相談ください。
当事務所は、元岩手県職員としての経験と他士業との連携を活かし、行政の視点を踏まえた、実践的なリスク管理と、未来を見据えたコンプライアンス体制の構築をサポートします。
貴社の健全な事業運営を、法務面から力強く支援いたします。
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