【CCUS】能力評価制度とは?

「建設キャリアアップシステム(CCUS)に登録はしたけれど、その先はどうすれば?」
「自社の職人たちの頑張りを、客観的な評価や給与に、どう反映させれば良いのだろう?」
「『能力評価』を受けると、会社にとってどんなメリットがあるの?」
こんな疑問をお持ちではありませんか?

ご安心ください。
その疑問は、CCUSの真価を発揮させる「能力評価制度」を正しく理解することで解決できます。

この記事では、建設業界の未来を担う技能者のキャリアパスを明確にする、CCUSの能力評価制度について、その仕組みから申請方法、そして企業側のメリットまでを分かりやすく解説します。

建設キャリアアップシステム(CCUS)は、単に技能者の就業履歴を記録するだけのシステムではありません。
その真の目的は、蓄積された客観的なデータを用いて、技能者一人ひとりの能力を公正に「評価」し、その評価を処遇の改善に繋げ、そして、若者たちが夢を持ってキャリアを築ける道筋を示すことにあります。

そのための核心的な仕組みが「能力評価制度」です。
この制度を理解し、積極的に活用することは、個々の技能者の成長だけでなく、企業の競争力強化と、建設業界全体の持続可能な発展に不可欠です。今回は、この能力評価制度について、その全容を詳しく見ていきましょう。

1技能者の「キャリアパス」を可視化する、能力評価制度とは?

まず、能力評価制度がどのような仕組みで、何を目的としているのかを理解することが第一歩です。

1-1. 能力評価制度の目的

能力評価制度とは、CCUSに登録された「保有資格」や「現場での就業日数」といった客観的な情報を活用し、技能者の能力(経験、知識、技能、マネジメント能力)を、業界統一の基準で評価する制度です。

この制度は、以下の好循環を生み出すことを目的としています。

⑴技能者にとって:
自身のスキルレベルが客観的に証明され、それに見合った給与や役職といった、公正な処遇を受けられるようになる。明確なキャリアアップの道筋が見え、仕事へのモチベーションが高まる。

⑵事業者にとって:
技能者の能力を客観的に把握でき、適切な人員配置や育成計画に活かせる。対外的にも、自社の技術力の高さをPRできる。

⑶業界全体にとって:
若年層に、建設業界でのキャリアパスの魅力を伝え、入職者の増加や定着を促進する。

1-2. 技能レベルはカードの色で分かる「4段階評価」

能力評価は、レベル1からレベル4までの4段階で行われ、そのレベルに応じて建設キャリアアップカードの色がステップアップしていきます。

⑴レベル1(ホワイトカード):初級技能者
見習い段階の技能者。

⑵レベル2(ブルーカード):中堅技能者
一人前の技能者として、中級レベルのスキルを持つ。

⑶レベル3(シルバーカード):職長レベルの技能者
高度なスキルを持ち、現場の職長としてチームを指導できる。

⑷レベル4(ゴールドカード):高度なマネジメント能力を持つ技能者
最上位のスキルに加え、現場全体の生産性向上や、後進の指導・育成までを担える、トップクラスの技能者。

このカードの色が、技能者の能力を客観的に示す「証明書」となります。
そして、国土交通省の調査でも、レベルが高い技能者ほど、平均賃金も高くなるという結果が示されており、評価が処遇に結びつく流れが現実のものとなっています。

2能力評価の申請方法

では、技能者のレベルアップを申請するには、どうすればよいのでしょうか。

2-1. 申請先は、職種ごとの「能力評価実施団体」

能力評価は、国土交通省が認定した、各専門工事の業種ごとの業界団体(=能力評価実施団体)が行います。
例えば、「とび」であれば日本建設躯体工事業団体連合会、「塗装」であれば日本塗装工業会といったように、自身の職種に対応する団体に申請します。

2-2. 申請者

申請は、技能者本人が行うのが基本ですが、所属する事業者が代行して申請することも可能です。
企業が従業員のキャリアアップを支援する上で、この代行申請は非常に有効な手段となります。

3評価の基準となる3つの柱

各レベルの評価は、主に以下の3つの要素を総合的に判断して行われます。
具体的な基準(必要な資格や日数など)は、前述の能力評価実施団体ごとに定められています。

3-1. ①就業日数

CCUSに登録された、その職種における現場での就業日数が、一定の基準を満たしているか。

3-2. ②保有資格

その職種の技能レベルを証明する、技能検定や特別教育などの資格を保有しているか。

3-3. ③職長・班長としての経験

レベル3以上を目指す場合は、職長や班長として、現場でリーダーシップを発揮した経験(就業日数)が求められます。

3-4.【重要】過去の経験を証明するための経過措置

「CCUS導入前の、昔の経験も評価してほしい」というベテラン技能者のために、経過措置が設けられています。

CCUSに記録されていない過去の就業日数や職長経験については、所属事業者が証明する「経歴証明書」を提出することで、評価の対象とすることが可能です。

この経歴証明による申請は、2029年(令和11年)3月31日までの期間限定措置ですので、対象となる方は早めの申請が重要です。

4整理

建設キャリアアップシステム(CCUS)の能力評価制度は、技能者一人ひとりの努力が、目に見える「レベル」と、それに見合った「処遇」として報われるための、画期的な仕組みです。

そして、事業者にとっては、この制度は、自社の「人財」を育成し、その価値を最大限に高めるための、信頼できる「羅針盤」となります。従業員の能力評価申請を積極的に支援し、ブルー、シルバー、そしてゴールドカードを目指すキャリアプランを共に描くこと。

それこそが、従業員の定着率を高め、企業の技術力を強化し、激しい競争を勝ち抜くための、最も確実な経営戦略と言えるでしょう。

5まとめ

建設キャリアアップシステム(CCUS)の真価は、この「能力評価制度」にあります。
技能者のキャリアを4段階のレベルで「見える化」し、公正な処遇へと繋げるこの仕組みは、人手不足に悩む建設業界の未来を切り拓く鍵です。

「自社の従業員のレベルアップを、どう支援すれば良いか」「能力評価の申請手続きが複雑で分からない」など、CCUSの活用に関するお悩みは、専門家である行政書士にご相談ください。

当事務所は、CCUSの登録手続きの代行から、能力評価申請のサポートまで、貴社の「人財育成」と「企業価値向上」を、法務・実務の両面から力強く支援いたします。

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