自動車登録番号と車両番号の違いとは?

この2つの違いは、「その車が法律上『登録』されている車か、そうでない車か」という点にあります。
一言で区別するなら、ナンバープレートの色で見分けるのが一番早いです。

⑴ 自動車登録番号: 白ナンバー・緑ナンバー(普通車・トラック等)
⑵ 車両番号: 黄色ナンバー・黒ナンバー(軽自動車・バイク等)

重要となる法的な違いは、以下のとおりです。

1 自動車登録番号

・道路運送車両法における「登録自動車」に付与される番号です。
・対象:普通乗用車、小型乗用車、大型トラック、バスなど
・プレートの色: 白(自家用)、緑(営業用)
・法的性質: この番号を持つ車は、国(国土交通省)の自動車登録ファイルに「登録」されることで、初めて公道を走る権利と、不動産のような「強力な所有権(物権)」が認められます。
・その他:所有権を公証するため、名義変更等の際には「封印」が必要です(後ろのナンバーの左上のアルミのキャップ)。
・抵当権の設定が可能

2 車両番号

・「登録」の対象外である「軽自動車」や「二輪車(251cc以上)」に付与される番号です。
・対象: 軽自動車、自動二輪車(小型二輪)
・プレートの色: 黄色(自家用軽)、黒(営業用軽)、白(バイク)
・法的性質: これらは法律上、「登録」ではなく「検査」や「届出」の対象となります。
 →あくまで「車両を識別するための番号」であり、登録自動車のような強力な資産ではありません。
・登録制度ではないため、原則として「封印」がありません。よって、ナンバープレートは自分で取付・取外しができる。
・手続きの窓口:各県にある国土交通省(窓口:東北運輸局 盛岡運輸支局など)ではなく、軽自動車検査協会(岩手県軽自動車協会)となります。

3 軽自動車が登録制度の対象外(届出制)となっている理由

・一言で言えば「かつては資産価値が低く、簡易な手続きで普及させる必要があったから」です。
・これは法律的にも、日本の戦後の産業政策的にも非常に深い理由があります。
・民法上の権利の違いと、歴史的背景の2つの側面があります。

⑴ 法律的な理由(資産としての「格」の違い)

普通自動車の「登録」は、不動産(土地・建物)の「登記」と同じ意味を持ちます。
① 普通車(登録自動車):
 ・資産価値: 高い(とみなされる)。
 ・制度の目的: 所有権を公的に証明し「抵当権(ローン担保)」を設定できるようにするため。
 ・扱い: 「動く不動産」のような扱いです。

② 軽自動車(検査対象の軽自動車):
 ・資産価値: かつては非常に低かった(スクーターに毛が生えた程度)。
 ・制度の目的: 安全性の確保(検査)・課税の把握ができれば十分。
 ・扱い: テレビや冷蔵庫と同じで、単なる動産です。

このため、軽自動車には「抵当権」を設定できません。
普通車は、運輸支局で「抵当権設定登録」ができますが、軽自動車はできません。
軽自動車をローンの担保にする場合は、「所有権留保(譲渡担保)」という形式をとります。

⑵ 歴史・政策的な理由(普及のための簡素化)

・昭和20年代~30年代、政府は「国民車構想」を掲げ、庶民でも買える安い車を普及させようとしました。
・当時の状況: 普通車の登録制度は、印鑑証明や厳格な手続き(封印など)が必要で、コストも手間もかかりました。
・軽自動車への優遇として、面倒な手続きをさせたら、庶民は車なんて買えない。もっと手続きを簡単にしよう!」 ということで、登録制度から外し、「届出(書類を出すだけ)」という簡単な仕組みにしました。
・だからこそ、封印もなく、自宅で自分自身で、ドライバー一本で取り付けられるのです。

⑶ 現在のねじれ現象

しかし、日本の現状が変わっています。
・昔: 軽自動車 = 360ccで、安くて簡易な乗り物。
・今: N-BOXなど、200万円を超える軽自動車も普通にあり、「資産価値」は普通車と変わりません。(むしろ、普通自動車より価値があると思われている)
・そのため、「軽自動車も登録制度に入れて、封印をすべきだ」とか「税金を上げるべきだ」という議論は度々起こります。
・しかし、以下のような理由で、現在も二重構造が続いています。
 → 地方の足としての重要性:
   手続きを厳格化(複雑化)すると、地方のユーザーや販売店の負担が増える。
 → 既得権益とシステムの壁:
   「国交省(登録)」と「軽自動車検査協会(届出)」で、組織もシステムも完全に分離。
   統合には莫大なコストがかかる。
軽自動車が登録制でないのは、「昔は資産価値が低く、手続きを簡単にして普及させる必要があったから」という、日本特有の歴史の名残です。
・法的なポイントとして、「軽自動車には抵当権が打てない(登録制度がないから)」という点が重要です。

⑷ 「検査対象外」の軽自動車とは?

・「軽自動車」というカテゴリーは、法律(道路運送車両法)上、車検(あるいは軽自動車など→検査)が必要か不要かで、大きく2つのグループに分けられています。
検査対象「外」軽自動車とは、主に「250cc以下のバイク」です。
・これは、手続きの窓口が、全く異なるため非常に重要です。

 ① 検査対象 軽自動車(車検あり)
   ・一般的に言われている「軽自動車」です。
   ・定義: 三輪および四輪の軽自動車。
   ・具体例: N-BOX、タント、軽トラなど。
   ・ナンバー: 黄色(または黒色)。
   ・ルール: 2年ごとの車検(継続検査)が必須です。
   ・手続き場所:各県の軽自動車検査協会

 ② 検査対象外 軽自動車(車検なし)<ただし、車両番号はある>
  ・「軽自動車」という名前ですが、車検を受ける義務が免除されています。
  ・定義: 二輪の軽自動車(排気量125cc超~250cc以下)。
  ・具体例:中型バイク
  ・ナンバー:白色(横長ではなく、小さい正方形に近い形)。
        上部に「1岩手」などと書かれています。市町村発行(原付)ではありません。
  ・ルール: 車検がありません。 自賠責保険に入れば、ずっと乗り続けられます。
  ・手続き場所: ここが罠ですが、軽自動車検査協会ではなく、運輸支局(岩手運輸支局)です。

 ③ その他の特殊な「対象外」
   バイク以外にも、特殊な例として(公道を走らないことが前提)
  ・スノーモービル(※型式によりますが、軽自動車として届出する場合)
  ・被牽引車(トレーラー)の一部(※ただし、ボートトレーラー等は通常「検査対象」)

 ④ 注意点:「軽二輪(250ccバイク)」の手続きは?
  ・車検がない:
    車検がないので「車検証」という紙が存在しません。
    代わりに「軽自動車届出済証」という書類が、権利証代わりになります。
  ・窓口の間違い:
    名前は「軽自動車」ですが、手続き先は軽自動車検査協会(盛岡市)ではなく、
    矢巾町の「東北運輸局 盛岡運輸支局 」です。

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