
「この工事現場に配置すべきなのは、主任技術者?それとも監理技術者?」
「そもそも、二つの役割の違いがよく分からない…」
「うちの会社の技術者の資格で、どちらの要件も満たせるのだろうか?」
こんな疑問を感じたことはありませんか?
ご安心ください。
そのお悩みは、建設業法が定める技術者配置のルールを正しく理解することで解決できます。
この記事では、建設工事の品質と安全の要である主任技術者と監理技術者について、その役割、明確な違い、そして職務内容までを分かりやすく解説します。
建設工事の品質を確保し、安全な施工を実現するために、建設業法はすべての工事現場に、一定の資格や経験を持つ技術者を配置することを義務付けています。
それが「主任技術者」と「監理技術者」です。
この二つの技術者は、どちらも現場の技術上の管理を担う重要な役割ですが、その配置義務や求められる資格には明確な違いがあります。
この違いを正しく理解し、工事の規模や契約内容に応じて適切な技術者を配置することは、建設業法を遵守する上で最も基本的な責務の一つです。
今回は、この現場の「司令塔」とも言える、主任技術者と監理技術者について、その役割から具体的な職務内容までを詳しく見ていきましょう。
1現場の守り神
まず、なぜ法律はこれらの技術者の配置を義務付けているのでしょうか。
その根本的な役割を理解することが、すべての基本となります。
1-1. 建設工事の適正な施工の確保
建設業法第26条では、建設業者は、その請け負った建設工事を施工するときは、当該工事に関し、工事現場における建設工事の施工の技術上の管理をつかさどる者として、主任技術者または監理技術者を置かなければならない、と定めています。
これは、専門的な知識と経験を持つ技術者が現場全体を俯瞰し、技術的な側面から工事を管理することで、施工の品質を確保し、安全な作業環境を維持することが目的です。
彼らは、まさに工事現場の品質と安全を守る「守り神」のような存在と言えるでしょう。
1-2. 資格要件は「営業所技術者」と連動
ここで重要なのは、現場に配置される主任技術者・監理技術者に必要な資格や実務経験の要件は、原則として、建設業許可の取得時に営業所に配置する「営業所技術者(旧:専任技術者)」の要件と同じであるという点です。
〇 主任技術者に必要な資格 = 一般建設業許可の営業所技術者の資格
〇 監理技術者に必要な資格 = 特定建設業許可の営業所技術者の資格
つまり、監理技術者には、一般的に1級国家資格など、より高度な資格や経験が求められることになります。
2主任技術者と監理技術者の明確な違い
では、どのような場合に主任技術者を、そしてどのような場合に監理技術者を配置しなければならないのでしょうか。
その違いは、元請負人として下請契約を結ぶ際の「金額」によって明確に分けられます。
2-1. 主任技術者
主任技術者は、元請・下請の別や、請負金額の大小にかかわらず、建設業者が施工するすべての工事現場に配置しなければならない、最も基本的な技術者です。
自社が下請として工事を行う場合も、元請として小規模な工事を行う場合も、必ず主任技術者の配置が必要となります。
2-2. 監理技術者
一方、監理技術者は、主任技術者に代わって、より高度な管理能力が求められる大規模な現場に配置されます。
その具体的な基準は、発注者から直接工事を請け負った元請負人(特定建設業許可業者に限る)が、総額で5,000万円以上(建築一式工事の場合は8,000万円以上)となる下請契約を締結して工事を行う場合です。
※この金額は、2023年(令和5年)1月1日からの改正後の金額です。
つまり、大規模な工事を、多くの下請業者を束ねて元請として施工する際に、主任技術者よりも上位の資格を持つ監理技術者を配置し、下請負人への適切な指導監督を行わせることで、工事全体の品質を確保しようというのが、この制度の趣旨です。
3主任技術者・監理技術者が担うべき4つの職務
主任技術者と監理技術者の職務は、建設業法第26条の3で定められており、単に現場に常駐しているだけではその責任を果たしたことにはなりません。
主に以下の4つの重要な管理業務を担います。
3-1. ①施工計画の作成
工事目的物を完成させるために必要な、具体的な手順や工法、使用する資機材、作業員の配置などを定めた施工計画を作成します。
3-2. ②工程管理
工事全体のスケジュールを管理し、計画通りに作業が進むよう、進捗状況を日々確認・調整します。
3-3. ③品質管理
工事目的物が、設計図書や仕様書に定められた品質・性能を満たすよう、使用材料の品質確認、施工状況のチェック、完成後の出来形確認などを行います。
3-4. ④その他技術上の管理及び指導監督
上記の管理業務に加え、現場の作業員に対して、施工方法に関する技術的な指導を行ったり、安全管理について監督したりすることも重要な職務です。
これらの職務の詳細は、国土交通省が公表している「監理技術者制度運用マニュアル」などで具体的に示されており、技術者はこれらの基準に則って、適正な施工管理を実践する必要があります。
4整理
建設工事現場における主任技術者・監理技術者の配置は、建設業法が定める最も基本的な義務の一つです。
その役割と配置基準を正しく理解し、工事の規模や契約内容に応じて適切な技術者を配置することは、法令遵守はもちろんのこと、工事の品質と安全を確保し、発注者や社会からの信頼を得るための第一歩です。
特に、元請負人として事業を拡大し、大規模な公共工事などに挑戦していく上では、監理技術者の確保と、その職務に対する深い理解が不可欠となります。
自社の技術者体制が、法律の求める基準を満たしているか、今一度ご確認いただくことをお勧めします。
5まとめ
建設工事現場への主任技術者・監理技術者の適正な配置は、建設業法における最重要義務の一つです。
その役割や配置基準を誤解していると、意図せず法令違反となり、監督処分を受けるリスクもあります。
「自社の技術者で、この工事の主任技術者になれるか?」「監理技術者を配置する必要があるのか?」など、技術者配置に関する具体的なお悩みや疑問は、専門家である行政書士にご相談ください。
当事務所は、建設業許可や経審の専門家として、最新の法令に基づき、貴社の技術者体制が適正であるかを確認し、最適な配置をご提案します。
元岩手県職員としての経験と他士業との連携も活かし、貴社の事業運営をサポートいたします。
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