
日々の診療やクリニック運営に追われ、「医療法人の事務手続き」を後回しにしていませんか?
実は、毎年・2年ごとに必ず行わなければならない届出や登記があり、これを怠ると過料の対象となる可能性もあります。
そのお悩み、この記事を読めば解決できます。
今回は、医療法人の設立後に定期的に必要となる行政手続きについて、絶対に押さえておきたい4つの必須ルールを、岩手県内の事例を交えながら分かりやすくご紹介します。
1 なぜ医療法人は定期的な手続きが必要なのか?
医療法人は、その高い公共性から、医療法やその他の法令によって厳格な運営が求められます。
設立して終わりではなく、法人の状況を正確に行政機関や社会に公示するために、定期的な届出・登記が義務付けられています。
これらの手続きは、法人の透明性を確保し、地域医療の信頼性を維持するために不可欠なものです。
ついつい後回しにしがちな事務作業ですが、期限を守って確実に行うことが、安定した法人運営の礎となります。
2 県への届出
医療法人は、主たる事務所の所在地を管轄する県に対して、定期的な報告や届出を行う必要があります。
2-1. 【ルール1】毎会計年度後に必須!「事業報告書等」の提出
すべての医療法人は、会計年度が終了してから3ヶ月以内に、「事業報告書等」を作成し、県知事(窓口は管轄の保健所)へ提出しなければなりません。
これは、法人運営の健全性を示すための最も基本的な義務です。
〇具体例:
3月決算の医療法人の場合、6月末までに前年度の事業内容や財務状況をまとめた書類を提出する必要があります。
この報告書には、貸借対照表や損益計算書といった専門的な書類も含まれるため、早めの準備が肝心です。
2-2. 【ルール2】役員の交代時に必須!「役員変更届」
医療法人の役員(理事・監事)の任期は、法律で最長2年と定められています。
そのため、最低でも2年に1度は役員を改選(重任・再任を含む)し、その旨を県知事に届け出る必要があります。
任期満了による改選だけでなく、任期途中での辞任や就任があった場合も、その都度、速やかに届出が必要です。
〇具体例:
2年に1度の役員改選で、理事長や理事が全員再任された場合でも、「変更なし」ではなく、「役員が重任(再任)された」という内容の変更届を提出しなければなりません。
これを忘れるケースが散見されるため、注意が必要です。
3 法務局への登記
県への届出とは別に、法務局に対しても定期的な登記申請が必要です。
登記は法人の情報を社会的に公示する重要な手続きであり、期限が厳しく定められています。
3-1. 【ルール3】2年ごとに発生する可能性!「理事長の変更登記」
医療法人の役員のうち、登記事項とされているのは「理事長」の氏名と住所です。
前述の通り、役員の任期は2年であるため、理事長も2年ごとに改選されます。
たとえ同じ人物が理事長に再任されたとしても、その旨を証明する書類を添付して「重任」の登記を行う必要があります。
もちろん、別の人物が新しく理事長に就任した場合は、必ず変更登記が必要です。
〇 具体例:
理事長が再任された場合、社員総会や理事会の議事録を添付して、2週間以内に法務局へ変更登記を申請します。
この「2週間以内」という期限を過ぎてしまうと、登記懈怠(とうきけたい)とみなされ、過料の対象となることがあります。
3-2. 【ルール4】毎年必ず必要!「資産の総額の変更登記」
医療法人は、毎会計年度が終了してから3ヶ月以内に、その時点での「資産の総額」を法務局で登記しなければなりません。
これは毎年必ず発生する手続きです。
ここで注意すべきは、登記するのはあくまで「資産の総額」であり、設立時に拠出された「基金」の額ではないという点です。
決算後の貸借対照表に記載された資産の総額を登記します。
〇具体例:
3月決算の法人は、6月末までに資産総額の変更登記を完了させる必要があります。
これは県への事業報告書等の提出と同じタイミングなので、セットで覚えておくと良いでしょう。
4 まとめ
医療法人の設立後には、今回ご紹介した4つのルール以外にも、様々な行政手続きが求められます。
・「日々の診療で忙しく、手続きの期限管理まで手が回らない」
・「そもそも、何から手をつけていいのか分からない」
というのが、多くの先生方や事務職員様の正直な気持ちではないでしょうか。
このような複雑で専門的な手続きは、専門家である行政書士に一括してお任せいただくことで、先生方は安心して本来の医療業務に専念することができます。
手続きの漏れや遅延といったリスクから解放され、精神的な負担も大きく軽減されるはずです。
当事務所では、医療法務を専門とし、お客様一人ひとりの状況に寄り添った最善の解決策をご提案いたします。
当事務所の最大の特徴は、弁護士、司法書士、税理士、社会保険労務士といった他士業との強固な連携体制です。
法務・労務・税務など、医療法人運営に関わるあらゆる問題に対して、ワンストップで迅速に対応することが可能です。
さらに、私自身が元岩手県職員として企業誘致や県立大学の新設に携わった経験を持っております。
この経験から、国や県、保健所といった行政機関の視点を深く理解しており、円滑な調整・折衝を行えることが、他にはない絶対的な「強み」です。
煩雑な手続きは専門家に任せ、先生は目の前の患者様のために全力を注いでください。
私たちが、そのための環境づくりを全力でサポートいたします。
5 注意事項
厚生労働省(地方厚生局)や県、保健所への許認可申請や届出を「代理」できるのは、法律で定められた国家資格者のみです。
行政書士は、行政手続きの専門家として、これらの申請を代理することが法律で認められています。
行政書士以外の者がこれらの業務を行うことは、法律で固く禁じられていますのでご注意ください。
6 お問い合わせ
行政書士藤井等事務所
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