
「医療法人を設立したいが、手続きが複雑で何から手をつければいいか分からない」
「日々の診療が忙しく、行政手続きまで手が回らない」
「スケジュール管理が難しそうだ」
こんな悩みはありませんか?
その悩み、この記事で解決できます。
医療法人の設立は、確かに複雑で時間のかかる手続きですが、全体の流れと重要なポイントを事前に把握しておけば、スムーズに進めることが可能です。
今回の記事では、医療法人設立を目指す先生方・事務職員様のために、設立認可から診療開始までの具体的なスケジュールと、絶対に押さえておくべき注意点を分かりやすく紹介します。
1 医療法人設立スケジュールの「4つの落とし穴」
医療法人の設立を考え始めたら、まず全体のスケジュール感と「やってはいけないこと」を把握することが重要です。
特に以下の4点は、計画全体を左右する「落とし穴」になりかねません。
1-1. 落とし穴1
最大の注意点は、「いつでも申請できるわけではない」ということです。
医療法人の設立認可申請は、県ごとに受付期間が厳格に定められています。
原則として、年に2回(例年:春と秋)しか申請のチャンスがありません。
例えば、「春の申請(第1回)」を逃してしまうと、次は「秋の申請(第2回)」まで半年待たなければならず、その分、法人化の計画も大幅に遅れてしまいます。
「いつまでに法人化したいか」という目標から逆算し、県が公式に発表する最新のスケジュール(申請説明会の日程、仮申請の締切日、本申請の締切日など)を、まず一番に確認することがスタートラインとなります。
1-2. 落とし穴2
多くの県では、申請に先立って「設立説明会」が開催されます。
この説明会への参加が、申請の必須条件となっている場合も少なくありません。
県の説明会の開催有無や時期、参加方法(対面か、資料配布のみか)は、その年度の募集要項によって異なります。
「去年はこうだったから」という思い込みは禁物です。
必ず最新の情報を確認し、参加が必要であれば、多忙な診療スケジュールの合間を縫ってでも日程を確保する必要があります。
ここで重要な情報を聞き逃すと、後の手続きでつまずく原因となります。
1-3. 落とし穴3
医療法人の設立申請には、多くの場合「仮申請(事前審査)」と「本申請」という2つのステップがあります。
特に重要なのが「仮申請」です。
これは単なる下書きの提出ではありません。県の担当部署が、申請書類の素案(押印や署名をする前のもの)を詳細にチェックする「実質的な審査」の場です。
ここで、定款の内容に法的な問題はないか、事業計画に無理はないか、資産要件を満たしているかなど、根本的な部分を厳しく審査されます。
この仮申請の段階で書類の完成度が低いと、担当者から数多くの修正指示が入ることになります。
1-4. 落とし穴4
仮申請で指摘された不備や修正点をクリアし、ようやく「本申請」に進めます。
しかし、もし仮申請の段階で書類の不備が多すぎたり、根本的な要件を満たしていなかったりした場合、最悪のケースでは「本申請の受付自体を拒否される」こともあり得ます。
そうなれば、その申請回は見送りとなり、また半年後の次のチャンスを待つしかありません。
「とりあえず出してみよう」という甘い見通しは通用しません。
仮申請の段階から、完璧な書類を準備するという気構えが不可欠です。
時間的な余裕をもって、慎重に準備を進めることが成功の鍵となります。
2 医療法人設立を成功させる「7つのステップ」
では、具体的にどのような流れで手続きが進むのでしょうか。
認可申請から診療開始までを、大きく7つのステップに分けて解説します。
2-1. 【ステップ1】設立総会の開催
まず、医療法人を設立しようとする人(設立者)が集まり、「設立総会」を開催します。設立者は原則3名以上必要です。
この総会で、法人の根本規則である「定款」を承認し、法人の運営を担当する役員(理事・監事)を選任します。
ここで決まった内容はすべて「設立総会議事録」という公式な書類にまとめ、後の申請書類の一部として提出します。
2-2. 【ステップ2】設立認可申請(仮申請・本申請)
ステップ1で作成した議事録や定款案、事業計画書、予算書など、膨大な量の申請書類一式を準備し、県の定めるスケジュールに従って「仮申請」を行います。
県の担当者との間で、書類の修正やヒアリング(質疑応答)などのやり取りを何度も重ね、すべての不備が解消されたら、押印・署名をして「本申請」となります。
2-3. 【ステップ3】医療審議会を経て「認可書」交付へ
本申請が受理されると、申請内容は「岩手県医療審議会」という専門家の集まる会議に諮問(意見を求めること)されます。
ここで「設立を認めてよい」という答申(回答)が得られて初めて、県知事からの「設立認可書」が交付されます。
仮申請から認可書の交付までには、数ヶ月の審査期間を要します。
2-4. 【ステップ4】法人設立登記(法務局)
県の認可書が交付されたら、それで終わりではありません。交付日から2週間以内に、主たる事務所(クリニック)の所在地を管轄する「法務局」で、「設立登記」を行う必要があります。
この登記が完了した日をもって、法的に「医療法人」が誕生したことになります。
もし2週間を過ぎてしまうと、認可そのものが取り消される可能性もあるため、非常にタイトな手続きです。
2-5. 【ステップ5】県への設立登記完了届
法務局で登記が完了し、「登記簿謄本(登記事項証明書)」が取得できるようになったら、速やかに「設立登記完了届」を県に提出します。これで県に対する設立手続きは一区切りとなります。
2-6. 【ステップ6】診療所開設許可申請(保健所)
法人が誕生しても、すぐに保険診療を開始できるわけではありません。
次に、管轄の「保健所」に対して、「診療所開設許可申請」を行います。
ここが個人開業との大きな違いです。
個人の場合は「開設届(事後報告)」で済みますが、法人の場合は「開設許可(事前審査)」が必要となります。
保健所の担当者による現地(クリニック)の構造設備検査(実地審査)などを受け、基準を満たしていると認められて初めて「開設許可書」が交付されます。
2-7. 【ステップ7】保健医療機関指定申請(厚生局)
保健所の「開設許可書」が交付されたら、いよいよ最後のステップです。
保険診療を行うために、地方厚生局に対して「保健医療機関指定申請」を行います。
この申請が受理され、「指定通知書」が交付されて初めて、健康保険を使った診療と、診療報酬の請求が可能になります。
同時に、それまで運営していた個人クリニックの「廃止届」や、個人の「保健医療機関廃止届」も忘れずに行う必要があります。
3 まとめ
医療法人の設立、そしてその後の行政機関への許認可申請や届出は、ここまで見てきたように、非常に多くのステップを踏む必要があり、スケジュール管理も複雑です。
「何から手を付けていいか分からない」「本業の診療に集中したい」というのが、先生方の本音ではないでしょうか。
これらの複雑な手続きは、専門家である行政書士にトータルでお任せいただくことで、先生方や事務職員様の貴重な時間を奪うことなく、スムーズかつ確実に進めることができ、大きな「安心」が得られます。
当事務所では、単に書類を作成するだけでなく、医療の現場に寄り添い、先生方にとって何が最善の解決策となるかを一緒に考え、ご提案します。
また、当事務所の最大の強みは、弁護士、司法書士、税理士、社会保険労務士といった他の専門家と強力な連携体制を築いている点です。法人設立に伴う登記(司法書士)や税務(税理士)、人事労務(社労士)といった様々な問題にも、ワンストップで迅速に対応が可能です。
さらに、私自身が元岩手県職員として、企業誘致や県立大学新設といった大型プロジェクトで、国や県、保健所といった行政機関との調整業務を数多く経験してまいりました。行政の思考や手続きの流れを熟知しているからこそできる、他にはない迅速かつ的確な対応力で、先生方の法人化を強力にバックアップいたします。
初回のご相談は無料です。
まずはお気軽にお悩みをお聞かせください。
★注意事項
医療法人の設立認可申請や、保健所への開設許可申請、厚生局への指定申請など、行政機関への許認可申請書類の作成および代理提出は、行政書士法に基づき、行政書士のみに認められた業務です。
行政書士の資格を持たない者が、報酬を得てこれらの申請を代理することは、法律で固く禁止されています。大切な法人のスタートは、国家資格者である行政書士にご依頼ください。
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