経審の改正ポイント

「経審の制度が、また変わったの?」
「CCUSって、必ず登録しないといけないの?」
「ワークライフバランスに取り組むと、経審で有利になるって本当?」
こんな疑問や不安はありませんか?

経営事項審査(経審)を申請するにあたって、改正内容や新しい評価基準について、その概要を知っておくことは非常に重要です。

特に、令和5年1月と8月の改正では、建設業の担い手確保や働き方改革に関する項目が大きく変更されました。

ご安心ください!
今回の記事では、令和5年1月と8月に改正された経営事項審査(経審)について、変更点や注意点を詳しく解説します。

この記事を読めば、最新の経審制度に対応し、自社に有利な申請を行うことができます。

岩手県、宮城県(仙台市含む)で公共工事の受注を目指す建設業者の皆様、ぜひ最後までお読みください。今回の提案は、あなたのお困りごとを解決する内容として紹介します。

1経営事項審査(経審)改正の背景

令和4年に開催された国土交通省の中央建設業審議会(中建審)総会において、経審の改正について審議されました。
今回の改正は、建設業界が抱える課題に対応し、建設業の持続的な発展を促すことを目的としています。

〇改正の3つの視点

中建審では、以下の3つの視点から、経審の改正について検討が行われました。

(1)担い手の育成・確保:
建設業の担い手不足は深刻な問題であり、若年入職者の確保や、建設業で働く人の定着率向上が急務となっています。

(2)災害対応力の強化:
近年、大規模な自然災害が頻発しており、建設業は、災害発生時の復旧活動において重要な役割を担っています。
災害対応力の強化は、国民の安全・安心を守る上で不可欠です。

(3)環境への配慮を推進:
地球温暖化対策は、世界共通の課題であり、建設業においても、環境負荷の低減に向けた取り組みが求められています。

これらの課題に対応するため、建設企業の努力を適切に評価し、後押しすることが、今回の経審改正の主な目的です。

2令和5年経審改正の概要

令和5年1月1日および8月14日に、経営事項審査(経審)が改正されました。
主な改正内容は、以下の5つです。

2-1. ワーク・ライフ・バランスに関する取り組みの評価(W項目)

新たに、「ワーク・ライフ・バランスに関する取り組みの状況(W10)」が評価項目として追加されました。

これは、建設業における働き方改革を推進し、多様な人材が活躍できる環境を整備することを目的としています。

具体的には、以下の認定を受けている場合に、加点評価されます。

 ①女性活躍推進法に基づく「えるぼし」認定
 ②次世代育成支援対策推進法に基づく「くるみん」「プラチナくるみん」認定
 ③若者雇用促進法に基づく「ユースエール」認定

これらの認定は、女性の活躍推進、子育て支援、若者の雇用促進など、ワーク・ライフ・バランスに関する取り組みを積極的に行っている企業を認定する制度です。

2-2. 建設工事に従事する者の就業履歴を蓄積するために必要な措置の実施状況(W項目)


「建設工事に従事する者の就業履歴を蓄積するために必要な措置の実施状況(W9)」が、新たな評価項目として追加されました。

これは、建設キャリアアップシステム(CCUS)の活用を促進し、技能労働者の処遇改善や、建設業の担い手確保につなげることを目的としています。

具体的には、以下の要件を満たす場合に、加点評価されます。

(1)CCUSへの登録:
建設業者がCCUSに登録していること。

(2)現場・契約情報の登録:
発注者から直接請け負った建設工事について、CCUS上で現場・契約情報を登録していること。
ただし、以下の工事は対象外となります。
 ・日本国内以外の工事
 ・建設業法施行令で定める軽微な建設工事
  (工事1件の請負代金の額が500万円未満の工事など)
 ・災害応急工事

(3)就業履歴蓄積体制の整備:
建設工事に従事する者が、直接入力によらない方法(ICカードリーダーなど)で、CCUS上に就業履歴を蓄積できる体制を整備していること。

(4)誓約書の提出:
経審申請時に、上記の要件を満たしていることを誓約する書面を提出すること。

2-3. 総合評定値(P点)算出の係数改正

上記「2-2. 建設工事に従事する者の就業履歴を蓄積するために必要な措置の実施状況(W9)」の追加に伴い、総合評定値(P点)の算出に用いる係数が変更されました。

これは、W9の追加によって、P点に占めるW点(その他の審査項目(社会性等))の割合が大きくなるため、各項目間のバランスを調整することを目的としています。

具体的には、以下の計算式でP点を算出します。
 〇 P = 0.25X1 + 0.15X2 + 0.2Y + 0.25Z + 0.15W

  -X1:完成工事高
  -X2:自己資本額及び平均利益額
  -Y:経営状況分析結果
  -Z:技術力
  -W:その他の審査項目(社会性等)

2-4. 建設機械の保有状況の評価(Z項目)

建設機械の保有状況(Z8)の評価において、加点対象となる建設機械の種類が追加されました。
これは、近年の災害において、実際に災害復旧活動で活躍している建設機械を評価し、建設業者の災害対応力を強化することを目的としています。

従来、加点対象となっていたのは、以下の3機種でした。
 -ショベル系掘削機
 -ブルドーザー
 -大型ダンプ

今回の改正で、以下の機種が新たに追加されました。
 -油圧ブレーカ(大型)
 -クラムシェル
 -バケット容量が10㎥以上のホイールローダ
 -解体用建設機械(圧砕機、ブレーカなど)
 -不整地運搬車
 -排水ポンプ車
 -照明車
 -アスファルトフィニッシャ

これらの建設機械を保有している場合は、申請時にその旨を申告し、証明書類(検査証など)を提出することで、加点評価を受けることができます。

2-5. 国際標準化機構(ISO)規格による認証・登録の評価(W項目)

「国又は国際標準化機構が定めた規格による認証又は登録の有無(W6)」の評価において、従来はISO14001の登録のみが評価対象でしたが、新たに「エコアクション21」の認証取得も加点対象となりました。

エコアクション21は、環境省が策定した日本独自の環境マネジメントシステムであり、中小企業でも取り組みやすいのが特徴です。

ISO14001とエコアクション21のどちらか一方の認証・登録があれば、加点評価を受けることができます。

2-6. その他の改正点

上記のほか、監理技術者講習の受講に関する評価(Z項目)について、講習修了の日の属する年の翌年の1月1日から5年間を加点対象とする改正がありました。

3まとめ

今回の記事では、令和5年1月と8月に改正された経営事項審査(経審)について、変更点や注意点を詳しく解説しました。

経審は、公共工事の入札参加資格を得るために不可欠な手続きであり、その制度は、建設業界の動向や社会情勢に合わせて、随時見直されています。

今回の改正では、建設業の担い手確保、働き方改革、災害対応力の強化、環境への配慮といった点が重視されています。

経営事項審査(経審)は、公共工事の元請業者の立場となる者には、絶対に欠かせない重要な手続きです。

しかし、制度の改正によって、評価項目や基準が変更されることがあるため、常に最新の情報を把握しておく必要があります。

「改正内容がよく分からない」「自社の取り組みが評価対象になるのか知りたい」など、疑問や不安を感じている方も多いのではないでしょうか。

行政書士藤井等事務所は、建設業許可・経営事項審査(経審)の専門家として、お客様の状況に合わせた最適なサポートを提供します。

法律の規定や申請手続きは複雑でなかなか分かりにくいものです。
ご自身で時間をかけて検討されるより、専門家に聞いた方が早くて確実です。

「経審の申請をしたいけど、何から手をつければいいか分からない」「申請書類の書き方が分からない」「自社に有利な申請方法を知りたい」という相談だけでも構いません。

建設業許可及び経営事項審査(経審)を検討されている業者様は、お気軽に当事務所にご相談ください。

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