経営事項審査のメリット6選

「建設業を営んでいるけれど、公共工事の入札に参加する方法がよくわからない…」
「経営事項審査(経審)って聞くけど、具体的にどんなメリットがあるの?手続きが複雑そうで、どこから手をつければいいか悩んでいる…」

こんなお悩みはありませんか?建設業の許可を取得し、さらにステップアップして公共工事の受注を目指す法人様にとって、経営事項審査(経審)は避けて通れない重要な手続きです。

その悩みは今回の説明で解決できます。
この記事では、経営事項審査(経審)を受けることの具体的なメリットや、建設業許可との関連性、そして専門家である行政書士に依頼する利点について、分かりやすく解説します。

今回の提案は、あなたのお困りごとを解決する内容として紹介します。

1経営事項審査(経審)とは?

まず初めに、経営事項審査(経審)がどのようなものか、そして建設業許可とどういった関係にあるのかを理解しておきましょう。
これらは、建設業者様が事業を拡大し、特に公共工事を受注する上で非常に重要な要素となります。

1-1. 建設業許可の基本

建設業を営むためには、原則として「建設業許可」を取得する必要があります。
これは、一定規模以上の建設工事(軽微な建設工事を除く)を請け負う場合に必要となるもので、建設業法に基づいています。

1-1-1. 建設業許可が必要となるケース
具体的には、建築一式工事であれば工事1件の請負代金が1,500万円以上(消費税込み)の場合、または延べ面積が150平方メートル以上の木造住宅工事の場合です。
建築一式工事以外の工事では、工事1件の請負代金が500万円以上(消費税込み)の場合に許可が必要となります。

これらの金額に満たない「軽微な建設工事」のみを請け負う場合は、必ずしも建設業許可は必要ありません。
しかし、事業を拡大し、より大きな工事を受注したり、公共工事に参入したりするためには、建設業許可の取得が第一歩となります。

1-1-2. 建設業許可の主な種類
建設業許可には、いくつかの種類があります。

⑴一般建設業と特定建設業:

①一般建設業許可:
元請として受注した工事について、下請に出す金額に制限がない場合(4,500万円未満、建築一式工事の場合は7,000万円未満)や、下請として工事を施工する場合に必要な許可です。

②特定建設業許可:
元請として受注した工事について、下請に出す金額が4,500万円以上(建築一式工事の場合は7,000万円以上)となる場合に必要となる許可です。
特定建設業許可は、下請業者を保護するためのものであり、財産的基礎などの要件が一般建設業許可よりも厳しくなっています。

⑵大臣許可と知事許可:

①大臣許可:
2つ以上の都道府県に営業所を設ける場合に必要です。

②知事許可:
1つの都道府県のみに営業所を設ける場合に必要です。

③29種類の業種別許可:
建設工事は29の業種に分類されており、それぞれの業種ごとに許可を取得する必要があります。例えば、「土木一式工事」「建築一式工事」「大工工事」「電気工事」などがあります。

1-1-3. 建設業許可取得のための主な要件
建設業許可を取得するためには、主に以下の5つの要件を満たす必要があります。

⑴経営業務の管理責任者(経管)がいること:
法人の場合は常勤の役員のうち1人が、個人の場合は本人または支配人のうち1人が、許可を受けようとする建設業に関し一定期間以上の経営経験を有していることが必要です。

⑵専任技術者(専技)を営業所ごとに置いていること:
許可を受けようとする建設業に関して、一定の資格や実務経験を持つ技術者を営業所ごとに専任で配置する必要があります。

⑶誠実性があること:
請負契約に関して不正または不誠実な行為をするおそれが明らかでないことが求められます。

⑷財産的基礎または金銭的信用があること:
自己資本の額や資金調達能力などが一定基準を満たしていることが必要です。

⑸欠格要件に該当しないこと:
許可申請書や添付書類に虚偽の記載があったり、役員等が一定の罪を犯して刑の執行を終えてから一定期間が経過していない場合などは許可が受けられません。

これらの要件は非常に専門的であり、証明書類の準備も複雑です。
行政書士にご相談いただくことで、スムーズな許可取得をサポートできます。

1-2. 経営事項審査(経審)とは?

建設業許可を取得した業者が、公共工事を国や地方公共団体などから直接請け負おうとする場合に、必ず受けなければならない審査が「経営事項審査(経審)」です。

建設業法第27条の23第1項には、「公共性のある施設又は工作物に関する建設工事で政令で定めるものを発注者から直接請け負おうとする建設業者は、国土交通省令で定めるところにより、その経営に関する客観的事項について審査を受けなければならない。」と規定されています。

これは、税金で賄われる公共工事の品質確保や、入札の公正性・透明性を担保するために設けられている制度です。

経審は、建設業者の経営状況、技術力、社会性などを点数化(総合評定値P点)し、客観的に評価するものです。

いわば、「企業の通信簿」のようなものと言えるでしょう。この点数が、入札参加資格の格付けの基礎となります。

1-2-1. 経審の評価項目:多角的な企業評価
経審では、主に以下の項目が評価されます。

⑴経営状況分析(Y点):
企業の財務状況を評価します。具体的には、自己資本額、利益額、回転率、負債抵抗力など、8つの指標から算出されます。
この分析は、国土交通大臣の登録を受けた経営状況分析機関が行います。

⑵技術力評価(Z点):
企業の技術力を評価します。具体的には、業種ごとの技術職員数や元請完成工事高などが評価対象となります。

⑶社会性等(W点):
企業の社会的な貢献度や法令遵守状況などを評価します。
具体的には、労働福祉の状況(雇用保険・健康保険・厚生年金保険への加入状況)、建設業の経理に関する状況、営業年数、防災協定の締結状況、法令遵守の状況、若年の技術者及び技能労働者の育成及び確保の状況などが評価されます。

⑷その他審査項目(X1点、X2点):
X1点は完成工事高、X2点は自己資本額および平均利益額です。
これらは企業の規模や安定性を示す指標となります。

これらの評価項目を総合的に評価し、総合評定値(P点)が算出されます。
P点が高ければ高いほど、企業の経営力や技術力が高いと評価され、公共工事の入札において有利になります。

1-2-2. 経審の流れ:申請から結果通知まで
経審の一般的な流れは以下の通りです。

⑴決算確定:
まず、審査基準日(通常は決算日)の財務諸表を確定させます。

⑵経営状況分析申請:
登録経営状況分析機関に財務諸表などを提出し、経営状況分析(Y点)を申請します。

⑶経営状況分析結果通知書の受領:
分析機関から経営状況分析結果通知書が発行されます。

⑷経営規模等評価申請・総合評定値請求:
許可行政庁(都道府県知事または地方整備局長)に対し、経営状況分析結果通知書やその他の必要書類を添付して、経営規模等評価申請(P点のうちY点以外の部分の評価)と総合評定値(P点)の請求を行います。

⑸総合評定値通知書の受領:
許可行政庁から総合評定値通知書が発行されます。
この通知書が、公共工事の入札参加資格申請に必要となります。

この一連の手続きは、書類作成も煩雑で、専門的な知識が求められます。
特に、評点アップを目指すには、どの項目を改善すればよいかという戦略的な視点も必要です。

2経営事項審査(経審)を受ける6つのメリット

では、具体的に経営事項審査(経審)を受けることで、建設業者様にはどのようなメリットがあるのでしょうか。
ここでは、主なメリットを6つに絞って詳しく解説していきます。

2-1. メリット1:公共工事の入札に参加できる

これが経営事項審査(経審)を受ける最大のメリットであり、また最大の目的と言えるでしょう。
前述の通り、国や地方公共団体などが発注する公共工事の入札に参加するためには、原則として経審を受けていることが必須条件となります。

2-1-1. 公共工事とは?
公共工事とは、道路、橋、トンネル、ダム、河川改修、上下水道、学校、病院、公営住宅など、私たちの生活に不可欠な社会インフラの整備や、公共施設の建設・維持管理に関する工事のことです。
これらの工事は、国や都道府県、市町村といった行政機関が発注者となります。

2-1-2. 入札参加資格審査への道が開ける
公共工事を受注するためには、まず各発注機関(国、都道府県、市町村など)が行う「入札参加資格審査」に合格し、有資格者名簿に登録される必要があります。
この入札参加資格審査を申請する際に、経審の「総合評定値通知書」の提出が求められるのです。

つまり、経審を受けて総合評定値(P点)を取得しなければ、公共工事の入札市場への入口に立つことすらできない、ということになります。

安定した受注機会や大規模なプロジェクトへの参画を目指す建設業者様にとって、経審はまさに「公共工事受注へのパスポート」と言えるでしょう。

2-1-3. 建設業法による規定
この根拠は、建設業法第27条の23に明確に規定されています。
同条では、公共性のある施設または工作物に関する建設工事を発注者から直接請け負おうとする建設業者は、その経営に関する客観的事項について審査(=経審)を受けなければならない、と定められています。
これは、公共の利益を守り、公正な競争を確保するための重要なルールです。

もし、あなたの会社が「いつかは公共工事も手がけたい」「安定した経営基盤を築きたい」とお考えであれば、まずは経審を受けることからスタートする必要があります。

2-2. メリット2:自社の経営状態を客観的に把握できる

経営事項審査(経審)は、単に公共工事の入札参加資格を得るためだけのものではありません。
審査の過程で作成される経営状況分析(Y点)や、総合評定値(P点)の内訳は、自社の経営状態を客観的な数値で把握するための貴重な「経営分析ツール」となり得ます。

2-2-1. 多角的な評価項目による現状分析
経審では、前述の通り、財務状況(Y点)、技術力(Z点)、社会性(W点)、企業規模(X1点、X2点)といった多岐にわたる項目が評価されます。
これらの評価項目は、いわば企業の体力測定のようなものです。

⑴財務の健全性:
自己資本は十分か?利益は出ているか?借入金に頼りすぎていないか?(Y点)

⑵技術力の高さ:
有資格者は十分にいるか?工事実績はどうか?(Z点)

⑶社会的な信頼性:
労働保険・社会保険への加入は万全か?法令を遵守しているか?若手育成に力を入れているか?(W点)

⑷事業規模: 売上高はどの程度か?(X1点)
これらの項目ごとの評点を見ることで、自社の強みと弱みが明確になります。
「技術力は高い評価だが、財務状況に課題がある」「社会保険への加入は完璧だが、若手技術者の育成が今後の課題だ」といった具体的な現状認識が可能です。

2-2-2. 経営改善への具体的な指針
会社の経営は、お金・人・法令遵守といった様々な問題が絡み合い、経営者の方は常に多くの悩みを抱えていらっしゃることでしょう。
自社の理想とする姿を実現するため、どこをどう改善し、伸ばしていくべきか。ビジョンや理念を達成するためには、どのような戦略を描けばよいのか。
経審の結果は、こうした経営課題に対する具体的な改善策を検討する上での重要なヒントを与えてくれます。

例えば、Y点の評点が低い場合は、財務体質の改善(例:利益率の向上、不要な資産の圧縮、借入金の削減など)に取り組む必要があります。
Z点の技術職員数が不足していれば、資格取得支援制度を導入したり、経験者採用を強化したりするなどの対策が考えられます。
W点の社会性が低い場合は、労働環境の整備やコンプライアンス体制の強化などが求められます。

このように、経審の結果を詳細に分析することで、自社の未来を描き、持続的な成長を遂げるための具体的なアクションプランを策定するのに役立ちます。
これは、公共工事を目指さない企業にとっても、非常に有益なメリットと言えるでしょう。

当事務所では、経審結果の分析に基づいた経営改善コンサルティングも行っております。お気軽にご相談ください。

2-3. メリット3:民間工事でも経審の結果が評価される

「経審は公共工事のためだけのものでしょう?」そう思われている方も多いかもしれません。
しかし、近年では民間企業が発注する比較的大規模な工事においても、発注先を選定する際の参考資料として、経営事項審査の結果を求められるケースが増えてきています。

2-3-1. 大手企業やデベロッパーからの要求
特に、大手ゼネコンが下請業者を選定する場合や、不動産デベロッパーが施工業者を選定する際に、経審の総合評定値(P点)や経営状況分析(Y点)の提出を求めたり、一定以上の点数を条件としたりすることがあります。

これは、発注者側からすれば、信頼できる業者に工事を任せたいと考えるのは当然であり、経審の結果は、その建設業者の経営状況、技術力、社会性などを客観的に評価した「信用力の証明書」として機能するからです。

2-3-2. 経審の点数が企業選定の基準に
例えば、「総合評定値P点が1000点以上の業者」といった具体的な基準を設けて、施工業者を公募する民間企業も見られます。
これは、経審の点数が高いほど、経営基盤が安定しており、技術力も高く、社会的な責任も果たしている企業である可能性が高いと判断されるためです。

公共工事への参入を現時点では考えていない企業であっても、将来的に民間大手からの受注を目指したり、より大規模なプロジェクトに関わりたいと考えているのであれば、経審を受けておくことは、企業の信用力を高め、ビジネスチャンスを広げる上で有効な手段となり得ます。

2-3-3. 金融機関からの評価向上も期待
また、金融機関が建設業者に対して融資審査を行う際に、経審の結果を参考にすることがあります。
良好な経審結果は、健全な経営を行っている証として、金融機関からの信用評価を高め、資金調達を有利に進める一助となる可能性も秘めています。

このように、経審は公共工事に留まらず、民間工事の受注機会拡大や、企業全体の信用力向上にも繋がる重要な指標となりつつあるのです。

2-4. メリット4:同業他社と比較して自社の立ち位置が分かる

経営事項審査の結果は、原則として公表されます。
これは、建設業情報管理センター(CIIC)のウェブサイトで、全国の建設業者の経審結果が検索・閲覧できるようになっており、誰でも一般に公開されています。

2-4-1. 経審結果の公開とその目的
経審結果を公表する主な目的は、公共工事の入札における透明性・公正性を確保すること、そして業者間の相互監視によって虚偽申請を防止することにあります。
発注機関は、この公開情報に基づいて入札参加者の適格性を判断できますし、建設業者自身も他社の情報を参考にすることができます。

CIICのウェブサイトでは、各企業の商号や許可番号、所在地といった基本情報に加え、業種ごとの完成工事高、自己資本額、利益額、技術職員数、そして総合評定値(P点)などが掲載されています。
これらの情報は、無料で閲覧したり、印刷したりすることが可能です。
(一部、詳細な情報の取得には料金が発生する場合があります。)

2-4-2. ベンチマーキングによる自社分析
この公開情報を活用することで、同業他社、特に同じ地域や同じ業種で競合する企業の経営状況や技術力などを具体的に比較分析することができます。

「ライバルA社は、うちよりもP点が〇〇点高い。どの項目で差がついているのだろう?」
「同じ規模のB社と比べて、うちは技術職員数は多いが、利益率が低いようだ。」
「県内でトップクラスのC社は、どのような経営戦略で高い評点を維持しているのだろうか?」

このように、同業他社のデータをベンチマーク(比較基準)として、自社の強みや弱み、業界内での立ち位置を客観的に把握することができます。
これにより、より具体的な経営目標を設定したり、競争優位性を確立するための戦略を練ったりするのに役立ちます。

2-4-3. 経営戦略立案のヒント
例えば、競合他社と比較して技術職員の評価(Z点の一部)が低いと分かれば、資格取得支援を強化する、経験者採用を進めるなどの対策を講じることができます。
また、完成工事高(X1点)は高いものの利益率(Y点の一部)が低い場合は、コスト管理の見直しや高利益率案件へのシフトなどを検討するきっかけになるでしょう。

他社の情報を知ることは、自社の戦略をより効果的なものにするための重要なステップです。
経審の結果公開は、まさにそのための貴重な情報源と言えるのです。

2-5. メリット5:新規参入業者に対する参入障壁となる

経営事項審査は、一度受ければ永久に有効というわけではありません。
経審の結果通知書(総合評定値通知書)には有効期間があり、これは審査基準日(通常は決算日)から1年7ヵ月間と定められています。(建設業法施行規則第18条の2)

2-5-1. 毎年継続的な手続きが必要
公共工事の入札に継続して参加するためには、この有効期間が途切れないように、毎年、決算が確定した後、速やかに経審の手続きを行い、新しい総合評定値通知書を入手しておく必要があります。

具体的には、決算日から概ね7ヶ月以内(これはあくまで目安であり、実際の手続き期間を考慮するともっと早く準備する必要があります)に申請準備を完了させ、有効期間が切れる前に新しい結果通知書が手元にある状態を目指すのが一般的です。

2-5-2. 法改正への対応と手続きの煩雑さ
また、建設業法や関連する法令、経審の評価基準などは、社会情勢の変化や政策的な要請に応じて頻繁に改正されます。
これらの改正に的確に対応し、常に最新の情報を把握しながら、煩雑な申請書類を作成し、手続きを進めていくのは、専門知識がないと非常に困難であり、多くの時間と労力を要します。

特に、評点アップを目指す場合には、最新の評価基準を理解し、自社の状況に合わせてどの項目をどのように改善すれば効果的か、という戦略的な取り組みが不可欠です。

2-5-3. 継続企業にとっての優位性
この「毎年継続して、法改正にも対応しながら、煩雑な手続きをクリアしなければならない」という事実は、見方を変えれば、きちんとこれらの対応を続けている企業にとっては、一種の参入障壁として機能します。

つまり、毎年しっかりと経審を受け、安定した経営を続けている企業は、そうでない企業や、これから新規に公共工事へ参入しようとする業者に対して、一定の優位性を持つことができるのです。
特に、経験の浅い新規参入業者が、いきなり高い評価を得るのは容易ではありません。

長年にわたり適切に経審を受け続け、安定した経営実績を積み重ねていることは、それ自体が企業の信頼性や継続性を示すものであり、発注機関からの評価にも繋がります。
この「継続していることの強み」は、一朝一夕には築けない、既存業者にとっての大きなアドバンテージと言えるでしょう。

2-6. メリット6:経営改善への意識向上と社内体制の強化

経営事項審査を毎年受けることは、経営者だけでなく、社員全体の経営改善への意識を高め、社内体制を強化する良い機会にもなります。

2-6-1. 評点アップに向けた全社的な取り組み
経審の評点(P点)は、完成工事高や利益額だけでなく、技術職員の数や資格、社会保険への加入状況、労働福祉の状況、法令遵守、若手育成など、企業活動の様々な側面が評価対象となります。

これらの項目でより高い評価を得るためには、経営層だけでなく、経理部門、技術部門、総務部門など、会社全体での協力と取り組みが不可欠です。

「技術職員の資格取得を奨励し、Z点を向上させよう」
「社会保険の未加入者をなくし、W点を改善しよう」
「建設業の経理処理を適正化し、W点をアップさせよう」
「若手技術者の育成プログラムを導入し、加点を目指そう」
こうした具体的な目標を設定し、全社的に取り組むことで、社員一人ひとりが自社の経営状況や課題に関心を持ち、改善活動に主体的に参加する意識が芽生えます。

2-6-2. 法令遵守(コンプライアンス)体制の整備
経審では、建設業法はもちろんのこと、労働関連法規(労働基準法、労働安全衛生法など)や社会保険関連法規などの遵守状況も評価されます。
経審を意識することで、これらの法令を遵守するための社内体制を見直し、整備するきっかけとなります。

例えば、適切な労働時間管理、安全衛生管理体制の構築、社会保険の適正な加入手続きなどを徹底することは、W点の評価向上に繋がるだけでなく、社員が安心して働ける職場環境づくりにも貢献し、結果として企業の生産性向上や人材確保にも良い影響を与えるでしょう。

2-6-3. 継続的な改善サイクル(PDCA)の確立
経審は毎年行われるため、「計画(Plan)→実行(Do)→評価(Check)→改善(Action)」というPDCAサイクルを回しながら、継続的に経営改善に取り組む良い機会となります。
前年の経審結果を分析し(Check)、課題を特定し、改善策を計画し(Plan)、実行し(Do)、翌年の経審でその成果を評価し(Check)、さらに次の改善に繋げる(Action)というサイクルを確立することで、企業は持続的に成長していくことができます。

このように、経審への取り組みは、単なる手続きとして捉えるのではなく、企業全体の組織力を高め、より強い経営体質を築くための重要な経営ツールとして活用することができるのです。

3行政書士に依頼するメリット

ここまで、経営事項審査(経審)のメリットについて解説してきましたが、実際に経審の申請手続きを行うのは、多くの書類作成や専門知識が必要となり、建設業者様ご自身で行うには大きな負担となることが少なくありません。

そこで、建設業許可や経審申請の専門家である行政書士にご依頼いただくことをお勧めします。

3-1. 煩雑な書類作成と手続きからの解放


経審の申請には、経営状況分析申請書類、経営規模等評価申請書類など、非常に多くの書類を作成し、収集する必要があります。
財務諸表はもちろんのこと、工事経歴書、技術職員名簿、社会保険加入状況の証明書類など、多岐にわたります。
これらの書類を不備なく正確に作成し、定められた期限内に提出するのは、日常業務で多忙な建設業者様にとっては大変な作業です。

行政書士にご依頼いただければ、これらの煩雑な書類作成や行政庁への申請手続きを代行いたしますので、お客様は本業である建設業務に専念することができます。

3-2. 評点アップのための専門的アドバイス


行政書士は、経審の評価項目や評点算出の仕組みを熟知しています。
お客様の現在の経営状況や財務状況を詳細に分析し、どの項目を改善すれば効果的に評点アップに繋がるのか、具体的なアドバイスを提供することができます。

例えば、「この資格を取得すればZ点が〇点アップします」「この財務指標を改善すればY点が向上します」「若手技術者を採用・育成することでW点の加点が期待できます」といった、専門家ならではの視点から、お客様の状況に合わせた最適な戦略をご提案します。

単に申請を代行するだけでなく、お客様の企業価値向上をサポートするのが私たちの役割です。

3-3. 最新の法改正や制度変更への迅速な対応

建設業法や経審の制度は、頻繁に改正が行われます。
これらの最新情報を常に把握し、適切に対応していくのは容易ではありません。

行政書士は、日頃から法改正や制度変更に関する情報を収集・研究しており、常に最新の知識に基づいて業務を行っています。

お客様が気づかないうちに不利な状況に陥ったり、逆に活用できるはずの加点措置を見逃したりすることのないよう、専門家として万全のサポート体制を整えています。

3-4. スムーズな許可取得と経審手続きの実現

万が一、申請書類に不備があったり、要件を満たしていなかったりすると、許可が下りなかったり、経審の結果通知が遅れたりする可能性があります。
これは、公共工事の入札機会を逃すことにも繋がりかねません。

行政書士は、豊富な経験と専門知識に基づき、お客様の状況を的確に把握し、スムーズかつ確実に許可取得や経審手続きが進むようサポートいたします。
行政庁との折衝や問い合わせ対応なども、お客様に代わって行います。

特に岩手県内での申請実績が豊富な当事務所であれば、地域特有の事情にも精通しており、よりきめ細やかな対応が可能です。

4まとめ

建設業許可申請や経営事項審査(経審)は、公共工事の元請業者としての立場を目指す建設業者様にとって、絶対に欠かせない重要な手続きです。

これらを通じて得られるメリットは、単に公共工事の入札に参加できるというだけでなく、自社の経営状態を客観的に把握し改善する機会を得たり、民間工事における信用力を高めたりと、多岐にわたります。

しかし、その制度の煩雑さ・複雑さから、「何から手をつければ良いのか分からない…」「手続きが難しそうで面倒だ…」「毎日忙しくて、とても申請準備まで手が回らない…」と感じている経営者の方も多いのではないでしょうか。

当事務所は、岩手県北上市を拠点に、建設業許可・経営事項審査(経審)を専門とする行政書士事務所として、これまで多くの建設業者様のサポートをさせていただいてきました。

お客様一人ひとりの状況やご要望を丁寧にお伺いし、最適な申請プランのご提案から、煩雑な書類作成、行政庁への申請代行、そして評点アップのためのコンサルティングまで、トータルでサポートいたします。

法律の規定や申請手続きは複雑で、一見すると分かりにくいものです。
ご自身で貴重な時間を割いて調査・検討されるよりも、その道の専門家にご相談いただいた方が、結果的に時間とコストを節約でき、より確実な成果に繋がるケースがほとんどです。

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この強力なネットワークにより、建設業許可や経審にとどまらず、会社経営に関わる多種多様・多面的な問題やお困りごとに対しても、迅速かつワンストップで対応できる体制を整えております。

さらに当方は、元岩手県職員として企業誘致や県立大学新設といった行政実務に携わってきた経験がございます。
この経験から、国や地方自治体といった行政機関の考え方や手続きの流れを熟知しており、各種申請や折衝において、他の事務所にはない「強み」を発揮できると自負しております。

岩手県内全域はもちろん、全国の建設業者様からのご相談に対応しております。
建設業許可の新規取得・更新、経営事項審査(経審)の申請をご検討されている業者様は、ぜひ一度、当事務所までお気軽にご相談ください。

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