監理技術者資格者証とは?

「監理技術者として現場に出るのに、資格者証は本当に必要?」
「監理技術者講習は、必ず受けなければならないの?」
「講習を受けると、経営事項審査(経審)で有利になるって本当?」
こんな疑問をお持ちではありませんか?

ご安心ください。
その疑問は、監理技術者資格者証と講習の制度を正しく理解することで解決できます。

この記事では、特定建設業許可を持つ企業の要である監理技術者について、その資格を証明する「資格者証」と、スキルを更新する「講習」の重要性、そして具体的な手続きまでを分かりやすく解説します。

特定建設業許可を取得し、大規模な元請工事を手掛ける企業にとって、現場の最高技術責任者である「監理技術者」の存在は、事業の根幹をなすものです。

そして、その監理技術者が法的にその資格を有していることを証明する唯一無二の証明書が「監理技術者資格者証」であり、その知識と技術を最新の状態に保つために不可欠なのが「監理技術者講習」です。

これらの制度は、単なる手続き上の要件ではなく、企業のコンプライアンス、そして経営事項審査(経審)の評点にも直結する、極めて重要な要素です。
今回は、この監理技術者の資格者証と講習について、その核心を詳しく見ていきましょう。

1監理技術者の「身分証明書」

まず、監理技術者資格者証がどのようなもので、なぜ必要なのかを理解することが第一歩です。

1-1. 資格者証の役割と発行機関

監理技術者資格者証は、文字通り、その人が監理技術者としての資格要件(1級国家資格など)を満たしていることを公的に証明するカードです。
この資格者証は、一般財団法人建設業技術者センター(CEEC)が交付しています。
特定建設業者が、発注者から直接請け負った建設工事で、下請契約の総額が5,000万円(建築一式工事は8,000万円)以上となる場合、その現場には必ず監理技術者を配置しなければなりませんが、その際にはこの資格者証の交付を受けていることが大前提となります。

1-2. 現場での携帯義務

監理技術者は、工事現場での職務に従事する際、発注者等から請求があった場合にいつでも提示できるよう、この資格者証を常に携帯することが義務付けられています。
携帯を怠ると、建設業法違反となる可能性がありますので、厳重な管理が必要です。

2知識を更新する義務

監理技術者には、日進月歩で進化する施工技術や、刻々と変わる関連法規など、常に最新の知識と高度な専門性が求められます。
その知識を更新するために設けられているのが「監理技術者講習」です。

2-1. 「専任」の現場では受講が必須

最も重要なポイントは、公共性のある重要な工事などで「専任」での配置が求められる現場において、監理技術者は、この講習を修了している者でなければならない、という点です。

たとえ1級の国家資格と監理技術者資格者証を持っていても、この講習を修了していなければ、専任の監理技術者として現場に立つことはできません。
これは、多くの人が見落としがちな、非常に重要なコンプライアンス上のルールです。

2-2. 経営事項審査(経審)での大きなメリット

監理技術者講習の受講は、コンプライアンス上の義務だけでなく、企業経営にも大きなメリットをもたらします。

公共工事の入札に参加するために不可欠な経営事項審査(経審)において、1級の国家資格者がこの講習を修了していると、技術力評価(Z点)で1点の加点が受けられます。
経審におけるわずか1点の差が、入札の成否を分けることも少なくありません。
企業の受注機会を増やすという観点からも、計画的な講習受講は極めて有効な経営戦略と言えるでしょう。

2-3. 講習の実施機関

この講習は、国土交通大臣の登録を受けた複数の実施機関(例:一般財団法人全国建設研修センターなど)で行われています。
オンラインでの受講が可能な機関も増えてきており、多忙な技術者でも受講しやすい環境が整いつつあります。

3資格者証の交付を受けるための具体的な手続き

では、監理技術者資格者証の交付を受けるには、どうすればよいのでしょうか。

3-1. 申請先と手数料

申請は、一般財団法人建設業技術者センター(CEEC)に対して行います。
新規の交付申請には、7,600円の手数料が必要です。

3-2. 申請方法

申請は、インターネット申請、郵送申請、窓口持参申請のいずれかの方法で行うことができます。
インターネット申請が、時間や場所を選ばず、最もスムーズでおすすめです。

3-3. 資格者証と講習、どちらが先?

「資格者証の交付申請」と「監理技術者講習の受講申込」は、どちらの手続きを先に進めても問題ありません。
同時並行で進めることも可能です。

ただし、専任の現場への配置が決まっている場合は、両方の手続きを速やかに完了させる必要があります。

4整理

監理技術者資格者証と監理技術者講習は、単なるカードや修了証ではありません。
それらは、監理技術者本人の高い技術力と、常に学び続ける姿勢を証明するものであると同時に、その技術者を擁する企業の、コンプライアンス遵守と品質確保への真摯な取り組みの証でもあります。

特に、経審での加点というメリットは、企業の受注能力に直接的な影響を与えます。
自社の監理技術者が、資格者証を確実に取得し、定期的に講習を受講しているか。
その管理体制を今一度確認し、企業の「無限の可能性」をさらに広げていきましょう。

5まとめ

監理技術者資格者証の取得と、監理技術者講習の受講は、特定建設業許可を維持し、大規模な工事を適法に施工するための絶対条件です。
特に、講習の受講は経営事項審査(経審)での加点にも繋がり、企業の競争力を高める上で重要な要素となります。

「資格者証の申請方法が分からない」「経審の加点について、もっと詳しく知りたい」など、監理技術者に関する手続きでお悩みでしたら、ぜひ専門家にご相談ください。

当事務所は、建設業法務の専門家として、最新の法令に基づき、貴社の技術者管理体制の構築をサポートします。
元岩手県職員としての経験と他士業との連携を活かし、貴社の事業運営を力強く支援いたします。

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