再下請負通知書とは?

「元請から、施工体制台帳を作るので『再下請負通知書』を提出するよう言われたが、そもそもこれは何?」
「二次下請に工事を出す場合、元請に報告する必要があるの?」
「再下請負通知書には、具体的に何を書けばいいのだろう?」
こんな疑問を感じていませんか?

ご安心ください。
その悩みは、施工体制台帳の作成における、下請負人の重要な義務である「再下請負通知制度」を正しく理解することで解決できます。

この記事では、下請負人の皆様が必ず知っておくべき「再下請負通知書」の役割と、その具体的な記載内容、そして関係者への周知義務までを分かりやすく解説します。

元請負人に作成義務がある「施工体制台帳」。
これは、工事に関わるすべての下請負人の情報を集約し、プロジェクト全体の透明性を確保するための重要な書類です。

しかし、元請負人がこの台帳を正確に作成するためには、一次、二次、三次…と連なる、すべての下請負人からの協力が不可欠です。
その協力の中核をなすのが、建設業法で定められた「再下請負通知書」の提出義務です。

今回は、特に下請負人の皆様が果たすべき、この重要な役割について詳しく見ていきましょう。

1「再下請負通知書」とは?

まず、再下請負通知書がどのような書類で、なぜ提出が義務付けられているのかを理解することが第一歩です。

1-1. 再下請負通知書の役割

施工体制台帳の作成が義務付けられている工事において、下請負人(一次下請以降)が、請け負った工事の一部をさらに別の専門工事業者(二次下請以降)に発注する場合、その契約内容などを、元請負人に対して書面で通知することが法律で義務付けられています(建設業法第24条の8第3項)。
この通知に使われる書類が「再下請負通知書」です。

この通知を通じて、元請負人は、自社が直接契約していない下位の下請負人の存在や、その担当工事内容、配置技術者などを正確に把握し、完璧な施工体制台帳を作成することができるのです。

1-2. 再下請負通知書の記載内容

書式は任意ですが、施工体制台帳の記載事項を補うための書類であるため、以下の情報を網羅的に記載する必要があります。

① 自社(通知を行う下請負人)に関する情報:
会社名、住所、建設業許可番号、健康保険等の加入状況など。
② 自社が元請(または上位下請)と結んだ契約に関する情報:
担当している工事の名称や工期、注文者の名称など。
③ 再下請負人(新たに工事を発注する相手)に関する情報:
再下請負人の会社名、住所、建設業許可番号、健康保険等の加入状況など。
④ 再下請負人との契約に関する情報:
再下請契約の内容(工事名称、工期)、契約締結日、配置される主任技術者の氏名や資格内容など。

国土交通省の各地方整備局のウェブサイトには、この再下請負通知書の標準的な書式や記入例が掲載されており、作成の際に非常に参考になります。

2円滑な運用のための「周知義務」

この再下請負通知制度が、現場の末端まで正しく機能するため、法律は元請負人および各階層の下請負人に対して、それぞれ「周知義務」を課しています。

2-1. 元請負人の義務:現場への掲示

元請負人は、施工体制台帳の作成対象工事である場合、現場内の見やすい場所に「再下請負通知書の提出案内」を掲示しなければなりません。
これにより、現場に出入りするすべての業者が、このルールについて認識することができます。

2-2. すべての注文者の義務:下請への書面通知

元請負人だけでなく、一次下請が二次下請に、二次下請が三次下請に工事を発注する場合など、下請契約を締結するすべての注文者は、その相手方(下請負人)に対し、以下の内容を書面で通知する義務があります。

・この工事が、施工体制台帳の作成対象工事である旨
・再下請負通知書を提出すべき、最上位の元請負人の名称
・再下請負通知書の提出先(元請負人の担当部署など)

この「通知の連鎖」によって、三次、四次の下請負人までもが、自らの義務を正確に認識し、元請負人へ直接、再下請負通知書を提出することができるようになります。

3情報伝達のフロー(役割)

この制度が実際にどのように機能するのか、各社の立場からその手順を見てみましょう。

3-1. 元請負人のアクション

① 一次下請負人に対し、この工事が施工体制台帳の作成対象であることを書面で通知する。
②現場の見やすい場所に、再下請負通知書の提出案内を掲示する。
③各階層の下請負人から提出された再下請負通知書を受領し、それに基づき、施工体制台帳と施工体系図を整備・完成させる。

3-2. 一次下請負人のアクション

①自社が二次下請負人に工事を発注する場合は、元請負人に対して再下請負通知書を提出する。
②二次下請負人に対し、この工事が施工体制台帳の作成対象であることなどを書面で通知する。

3-3. 二次下請負人のアクション

①自社が三次下請負人に工事を発注する場合は、元請負人に対して再下請負通知書を提出する。
②三次下請負人に対し、この工事が施工体制台帳の作成対象であることなどを書面で通知する。
(三次以降も同様に続きます)

4整理

再下請負通知書の提出は、下請負人に課せられた、建設業法上の明確な義務です。
この義務を怠ると、元請負人は正確な施工体制台帳を作成できず、結果としてプロジェクト全体のコンプライアンス体制に不備が生じることになります。

自社が請け負った工事を、さらに信頼できるパートナーに再下請負することは、専門性を活かした効率的な施工のために不可欠です。
その際には、必ずこの再下請負通知のルールを遵守し、元請負人への迅速な情報提供を心掛けること。

その誠実な協力体制こそが、元請負人との強固な信頼関係を築き、自社の事業機会をさらに広げていくための、重要な第一歩となるのです。

5まとめ

施工体制台帳の作成は元請負人の義務ですが、その完成には、全階層の下請負人による「再下請負通知書」の適切な提出が不可欠です。
このルールは、建設生産システムの透明性を確保し、業界全体のコンプライアンスを支える重要な仕組みです。

「再下請負通知書の書き方が分からない」「元請として、下請にどう周知すれば良いか」など、施工体制の構築に関するお悩みは、専門家である行政書士にご相談ください。

当事務所は、元岩手県職員としての経験と他士業との連携を活かし、最新の法令に基づき、元請・下請双方の立場から、適正で円滑な施工体制の構築をサポートいたします。

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