
「公共工事に参入して事業を拡大したいけど、経審から入札までの具体的な流れがよく分からない…」
「決算後の手続きが多くて、何から手をつければいいの?」
「入札参加登録って、どうやってやるの?格付けって何?」
こんなお悩みや疑問を抱えていませんか?
ご安心ください。
そのお悩み、この記事を読めばスッキリ解決できます。
建設業許可業者の皆様が公共工事の入札に参加し、受注を勝ち取るまでの道のりを、決算日から案件探しまで9つのステップに分け、それぞれの手続き内容、注意点、そして専門家である行政書士がどのようにサポートできるのかを詳しく解説します。
今回の提案は、建設業許可を取得されている皆様が、経営事項審査(経審)を経てスムーズに公共工事の入札に参加し、事業の「無限の可能性」を広げるためのお困りごとを解決する内容としてご紹介します。
建設業を営む皆様にとって、経営事項審査(経審)を受け、公共工事の入札に参加することは、事業の安定と成長を目指す上で非常に重要な戦略の一つです。
しかし、その手続きは多段階に及び、専門的な知識も要求されるため、戸惑いを感じる方も少なくありません。
ここでは、決算日から始まり、実際に入札案件を見つけるまでの具体的な流れを9つのステップに分けて、分かりやすく解説していきます。
1事業年度の締めくくり(決算日)
すべての事業活動と同様に、建設業においても年に一度、事業年度の成績をまとめる「決算日」が訪れます。
これは、経審申請プロセスの出発点とも言える重要な日です。
1-1. 通常の決算処理の実施
まずは、通常の企業会計原則に従い、当該事業年度の収支を計算し、財産状況を確定させるための決算処理を行います。
具体的には、売上、原価、経費の集計、棚卸資産の評価、減価償却費の計上など、日々の経理業務の集大成となります。
この段階で、後の経審で評価される財務諸表の基礎が固まるため、正確な会計処理が不可欠です。
特に、完成工事高や未成工事支出金などの建設業特有の勘定科目の取り扱いには注意が必要です。
1-2. 建設業会計
建設業の会計処理は、一般的な商工業の会計とは異なる特徴を持っています。
例えば、工事進行基準の適用や、未成工事受入金、完成工事未払金といった特有の勘定科目の使用などが挙げられます。
これらの処理の正確性が、後の経営状況分析(Y点)や総合評定値(P点)に直接影響を与えるため、建設業会計に精通した税理士との連携も重要になります。
2税務署へ確定申告
決算処理が完了したら、次に行うべきは税務署への確定申告です。
これは法人の義務であり、期限厳守が求められます。
2-1. 決算日から2ヶ月以内
法人税、地方法人税、法人事業税、法人住民税などの申告と納税を、原則として決算日から2ヶ月以内に行う必要があります。
たとえ事業年度が赤字であったとしても、申告義務は発生します。
2-2. 消費税の申告・納税
特に注意が必要なのが消費税です。
課税売上があれば、赤字決算であっても消費税の納税義務が生じることが一般的です。
建設業においては、請負金額が大きいことが多いため、消費税額も高額になる傾向があります。
納税資金の準備も計画的に行う必要があります。
この確定申告書(控)は、後の決算変更届や経審申請時の重要な添付書類となります。
3建設業許可業者としての責務(決算変更届)
建設業許可を受けている事業者は、毎事業年度終了後、許可行政庁(通常は都道府県の土木事務所や建築振興課など)に対して「決算変更届(事業年度終了報告書とも呼ばれます)」を提出する義務があります。
3-1. 決算日から4ヶ月以内の提出期限
この届出は、決算日から4ヶ月以内に行わなければなりません。
提出が遅れると、建設業法に基づく指導や、場合によっては罰則(過料)の対象となる可能性もあるため、期限管理は徹底しましょう。
3-2.注意点
決算変更届には、主に以下の書類を添付します。
①工事経歴書
②直前3年の各事業年度における工事施工金額を記載した書面
③財務諸表(貸借対照表、損益計算書、完成工事原価報告書、株主資本等変動計算書、注記表)
④事業報告書(株式会社の場合)
⑤納税証明書(法人事業税・法人都道県民税、消費税及び地方消費税など)
特に、経審を受ける予定がある場合、この段階で提出する工事経歴書や財務諸表の精度が極めて重要になります。
工事経歴書においては、請負った工事の種類、注文者、工事場所、配置技術者、請負代金の額などを正確に記載する必要があり、これらが後の経審での完成工事高(X1点)の評価に直結します。
また、財務諸表は、税務署提出用のものとは別に、建設業会計の基準に則って作成し直す必要があり(税抜処理が原則)、この数値が経営状況分析(Y点)の基礎データとなります。
この段階で不備があると、後の経審申請で手戻りが生じ、時間をロスすることになりかねません。
4「経営状況分析」(Y点)の申請
決算変更届の準備と並行して、または提出後速やかに、「経営状況分析」の申請を行います。
これは、経審の評価項目の一つであるY点(経営状況点)を算出してもらうための手続きです。
4-1. 登録経営状況分析機関への依頼
経営状況分析は、国土交通大臣の登録を受けた民間の「登録経営状況分析機関」に依頼します。
複数の機関が存在し、それぞれ手数料や分析にかかる日数、サービス内容が若干異なる場合がありますので、事前に比較検討すると良いでしょう。
申請にあたっては、決算変更届で作成した建設業財務諸表(税抜)などを分析機関に送付します。
4-2. 「経営状況分析結果通知書」の受領
分析機関は、提出された財務諸表を基に、負債抵抗力、収益性・効率性、財務健全性、絶対的力量といった複数の指標から企業の経営状況を評点化します。
分析が完了すると、「経営状況分析結果通知書」が発行されます。
この通知書に記載されている「Y点」が、経審の総合評定値(P点)を構成する重要な要素となります。
近年では、経審の電子申請化に伴い、この結果通知書をPDFデータで受領することも可能になってきており、手続きの迅速化に繋がっています。
4-3. Y点の重要性とポイント
Y点は、企業の財務健全性を示す指標であり、その評点は自己資本額、利益額、キャッシュフロー、各種回転期間(総資本回転期間、売上債権回転期間など)といった様々な財務指標から算出されます。
したがって、日頃からの健全な財務体質の維持・改善努力(例:自己資本の充実、有利子負債の圧縮、キャッシュフローの改善、不良債権の整理など)が、Y点の向上に不可欠です。
5経営事項審査(経審)の申請
「経営状況分析結果通知書」を入手したら、いよいよ都道府県の担当窓口(建設業許可を受けた行政庁)に対して、経営事項審査(経審)の本申請を行います。
5-1. 必要書類の準備と申請
経審の申請には、「経営状況分析結果通知書」のほか、以下のような多岐にわたる書類が必要となります。
①経営規模等評価申請書・総合評定値請求書
②工事種類別完成工事高・工事種類別元請完成工事高付表
③その他の審査項目(社会性等)評定項目自己チェックシート
④技術職員名簿及び技術職員調書
⑤監理技術者・主任技術者資格証明書(写)
⑥健康保険・厚生年金保険・雇用保険の加入状況を証明する書類(写)
⑦建設業退職金共済制度、法定外労働災害補償制度への加入証明(写)
⑧建設機械の保有状況一覧表及びその確認資料(写)
⑨ISO認証取得証明書(写)(該当する場合)
⑩その他、加点項目を証明する各種書類
これらの書類を正確に作成し、添付資料と共に提出します。
書類作成は専門的な知識を要し、記載内容一つで評点が変動することもあるため、細心の注意が必要です。
5-2. 電子申請システム(JCIP)の活用
令和5年1月から本格稼働した「建設業許可・経営事項審査電子申請システム(JCIP)」を利用することで、経審の申請手続きをオンラインで行うことが可能になりました。
これにより、窓口への移動時間や郵送コストの削減、申請状況の確認の容易化といったメリットが期待できます。
ただし、利用には事前の利用者登録や対応環境の整備が必要となります。
6経審結果通知書の受領
経審の申請後、都道府県による審査が行われ、問題がなければ「経営規模等評価結果通知書・総合評定値通知書」が交付されます。
6-1. 審査期間の目安
申請書類に不備がなく、審査がスムーズに進んだ場合、通常、申請から約2週間から1ヶ月程度で結果通知書が届きます。
6-2. 「総合評定値(P点)」の意味と構成
この通知書には、企業の経営規模、経営状況、技術力、その他の審査項目(社会性等)を総合的に評価した「総合評定値(P点)」が記載されています。P点は、以下の計算式で算出されます。
P点 = 0.25X1 + 0.15X2 + 0.20Y + 0.25Z + 0.15W
(X1:完成工事高、X2:自己資本額・利益額、Y:経営状況、Z:技術力、W:その他審査項目)
このP点が高ければ高いほど、企業の総合力が高く評価され、入札において有利になるとされています。
7入札参加資格審査申請
経審の結果通知書を受け取ったら、次はいよいよ実際に入札に参加したい発注機関(国、都道府県、市町村、独立行政法人など)に対して、「入札参加資格審査申請」を行います。
7-1. 各発注機関への個別申請
入札参加資格は、原則として発注機関ごとに個別に申請し、登録を受ける必要があります。
例えば、国土交通省の工事に入札したければ国土交通省へ、岩手県の工事に入札したければ岩手県へ、北上市の工事に入札したければ北上市へ、それぞれ申請手続きが必要です。
7-2. 申請時期と受付
多くの発注機関では、次年度の入札に参加するための資格審査申請を、特定の期間(例:前年度の秋から冬にかけて)に集中して受け付ける「定期受付」を行っています。
この定期受付を逃すと、次の定期受付まで申請できない場合や、「随時受付」「追加受付」として期間外でも受け付けてくれる場合がありますが、対応は発注機関によって異なります。
計画的な申請準備が重要です。
7-3. 必要書類と申請内容
申請には、経審結果通知書の写しのほか、登記事項証明書、納税証明書、印鑑証明書、財務諸表、技術者名簿、工事経歴書など、多岐にわたる書類の提出が求められます。
また、希望する工事種別や、過去の同種工事の実績、暴力団等反社会的勢力ではないことの誓約なども申請内容に含まれます。
8登録完了と格付け
入札参加資格審査申請が無事に受理され、審査を通過すると、晴れてその発注機関の「有資格者名簿」に登録され、入札に参加する資格を得ることができます。
8-1. 名簿登載のタイミング
定期受付で申請した場合、通常は次年度の初めから名簿に登載され、入札に参加できるようになります。
随時受付や追加受付の場合は、審査完了後の翌月など、比較的早いタイミングで登録されることもあります。
8-2. 「格付け」の意味と影響
多くの発注機関では、経審の総合評定値(P点)や技術者の数、過去の工事実績などを基に、登録業者をA、B、Cといったランクに「格付け」します。
この格付けによって、入札に参加できる工事の予定価格の上限や下限が設定されるのが一般的です。
例えば、Aランクの業者は大規模な工事(数億円規模など)に入札できる一方、Cランクの業者は比較的小規模な工事(数千万円規模など)に限定される、といった具合です。
したがって、より大きな規模の公共工事を受注するためには、経審の評点を上げ、上位の格付けを得ることが目標となります。
格付けの基準やランク区分は、各発注機関が独自に定めています。
9案件を見つけて入札へ
入札参加資格を得て格付けが決定したら、いよいよ実際の工事案件を探し、入札に参加する段階です。
9-1. 電子入札の普及と情報収集
近年、公共工事の入札は「電子入札システム」を利用して行われるのが主流となっています。
各発注機関のウェブサイトや、国が運営する「入札情報サービス(PPI)」、あるいは各都道府県が共同で運営する電子入札システムなどで、入札公告が公開されます。
9-2. 定期的な情報チェックの重要性
有望な案件を見逃さないためには、これらの入札情報を定期的に、できれば毎日チェックすることが推奨されます。
公告期間は限られており、設計図書のダウンロードや質疑応答、応札の準備にも時間を要するため、迅速な対応が求められます。
チェックすべき項目は、工事名、発注機関、工事場所、予定価格(公表されている場合)、工期、入札方式(一般競争入札、指名競争入札、随意契約など)、参加資格(格付けランク、同種工事の実績要件など)、設計図書の入手方法、入札書の提出期限など多岐にわたります。
9-3. 応札と落札に向けて
自社の技術力や経営状況、得意分野などを総合的に勘案し、受注を目指せる案件が見つかれば、設計図書を精査し、積算を行い、入札書を提出します。
そして、開札の結果、最も有利な条件を提示した者(多くは最低価格を提示した者)が落札者となり、晴れて公共工事の受注に至ります。
10まとめ
経営事項審査(経審)の申請から始まり、格付けを得て、最終的に公共工事の入札に参加するまでの道のりについて、具体的なステップを解説してまいりました。
各段階で多くの手続きと準備が必要であり、特に初めて公共工事への参入をお考えの建設業者様にとっては、その複雑さに戸惑うことも少なくないでしょう。
建設業許可申請や経営事項審査(経審)は、公共工事の元請業者としての地位を確立し、企業を安定的に成長させていくためには、絶対に欠かせない重要な手続きです。
しかし、制度の仕組みや必要書類の多さ、頻繁な法改正などを考えると、「どこから手を付ければいいのか…」「自社の力だけで対応できるだろうか…」と不安を感じている方も多いのではないでしょうか。
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